自閉症はいつわかる?自閉症の原因と症状・年齢別症状について解説
「自閉症はいつわかる?」
「自閉症の原因や症状を知りたい」
と悩んでいませんか。
自閉症または発達障害の疑いがある子どものお父様やお母様、または妊娠中の方は気になるところではないでしょうか。自閉症は、約100人に1人いるとされています。アメリカでは全児童の5%程度まで有病率が増加しているという報告もあります。
近年では、テレビやインターネットで多くの情報が流れ障害に対する理解も進んでいます。しかし、中には情報に振り回され何が正しいのか分からないといった声も。そこで今回は、自閉症がいつ分かるのか年齢別の症状や原因について解説します。
本記事について
※自閉症の症状は本記事に記載されている項目が全てではありません
※子どもの発達は個人差があります
※治療や診断については医師にご相談ください
自閉症とは
家族や子どもが自閉症の疑いがある人が気になるのは症状や原因ではないでしょうか。ここでは、自閉症について下記3つを解説します。
- 症状
- 原因
- 治療
症状
自閉症の症状は、ときに特性として表現されるケースがあります。ここでは、一般的に基準としてあげられる自閉症の症状を解説します。
下記が、自閉症の症状の特徴になります。
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症状は、あくまで一例のため自閉症のある人がみんな同じではありません。実際に、一緒に生活している家族や支援者にしか分からない症状もあります。気のせいや考えすぎと抱え込まず、気になる方は主治医へ相談するのも一つの方法です。
原因
自閉症の原因は、先天性の脳機能障害が原因の障害です。詳しい原因は、いまだに解明されていません。親からの遺伝や、遺伝子異常など諸説ありますが遺伝子が複雑に関与しているのではないかと言われています。また母親のお腹にいたときの環境である場合や周産期に起きたトラブルの可能性も考えられています。(出典:「厚生労働省e-ヘルスネット」)
最近では、発達障害の一つとして浸透してきた自閉症ですが理解が難しい現実も。なかには、育児環境が原因だという人もいますが決して育て方や愛情不足が原因ではないことだけは理解しておきましょう。
治療
障害や発達に合わせ主に下記の対処療法両方が行われています。
- 心理療法
- 言語療法
- 行動療法
- 薬物療法
心理療法や言語療法と行動療法などは、子どものころに早期療育として取り入れられる傾向にあります。また薬物療法においては、自閉症の症状に対して医師が薬剤を処方します。下記の表に、症状に対して処方される薬剤の一例をまとめました。
症状 | 処方薬 |
睡眠障害 |
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多動・衝動やこだわり行動など |
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不安・強迫性障害など |
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自閉症の症状が強く、日常生活を送ることが難しいため何種類もの薬剤を内服し症状をコントロールする必要があるのです。とはいえ、小さい子供などを育児している方のなかには薬剤を内服させることに戸惑いを感じるといった声を聞きます。
小さな体に、薬剤が入るわけですから戸惑いや抵抗を感じるのは当然のことです。また精神科系の薬剤は一般的に重い副作用があります。近年では幹細胞治療が注目を集めています。2021年には金沢大学と九州大学の研究グループが、自閉症に対する新たな治療戦略として幹細胞治療の研究結果を公表しました。
近い将来において幹細胞治療が当たり前となり、薬物療法をしなくても症状がコントロールできる日がおとずれるかもしれません。
【幹細胞治療とは】 |
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自閉症はいつ分かる?年齢別症状
前述では、自閉症の原因や症状・治療について解説してきました。早期療育が叫ばれる中で、実際に自閉症が分かるのは何歳ごろなのでしょうか。
ここでは、年齢別に自閉症の症状を解説していきます。お子さんが自閉症かもしれないと不安な方は、参考にしてみてください。
0歳~1歳
赤ちゃんは、人の顔に興味を持ち好む傾向にあります。また成長とともに、抱っこやスキンシップを求めたり日々成長しています。しかし、自閉症の赤ちゃんは定型発達の赤ちゃんとは異なり人に興味を示すことが少ないこともあります。
自閉症の赤ちゃんの特徴は、下記になります。
- 目を合わせない
- 呼んでも振り向かない
- 抱っこを嫌がる(のけぞる)
- 音などに敏感
赤ちゃんによっては、ミルクを与える人が変わると途端に飲もうとしない場合や、入浴時に濡れることが嫌で火が付いたように泣くケースがあります。ただし乳幼児期は成長の個人差があるため、特徴に当てはまるからといって必ずしも自閉症とは限りません。
2歳~3歳
通常2〜3歳ごろになると、2から4語文を言えたり簡単な指示に従うようになります。また、運動能力も発達し安定して歩くようになったり、遊びも増える年齢です。自閉症のある子どもの多くは、2〜3歳ごろに診断を受けます。2~3歳児に見られる自閉症の症状を下記にまとめました。
- 言葉の遅れ(二語文を使わない)
- 指示に従うことが難しい
- 歩きが不安定
- 指さしをしない
- 人に興味関心がない
- ちょっとしたことで癇癪(かんしゃく)をおこす
- 食事へのこだわり(偏食)が強い
とくに偏食は、好き嫌いと勘違いする人が多くいますが、嫌いで食べないのではなく、口に入った時の触感や形態にこだわりがあるために食べられない状態などが該当します。偏食だけではなく、難しい行動などは無理に正そうとせず様子をみながら本人に合わせることが大切です。
3歳~5歳
3~5歳になると、集団行動ができるようになり遊びのルールが理解できるようになります。幼稚園や保育園で、社会性を学び始める時期ともいえるでしょう。しかし、自閉症のある子どもは遊びの中のルールなど理解が難しい特徴があります。
- 順番が守れない
- 鬼ごっこなどのルールを理解することが難しい
- 集団行動が難しい
- 同じ遊びを飽きずに繰り返す
上記の症状から、友達や同じ園の子供達とのトラブルも増えてきます。集団での行動などは、本人にとって理解が難しいため個別支援も視野に入れておきましょう。
6歳~13歳
学校に入学し、多くの人と関わりや規則も増えてきます。これまでの環境とは大きく変化するため、負担が大きくなり周囲も自分たちとの違いに気づき始めます。6~13歳に見られる症状は、これまで紹介してきた症状と同じ内容です。
しかし、衝動性が出てきたり多動などの症状が目立つ場合もあり、自閉症のある子どもの中には知的障害などを併せ持つケースがあるため、障害や本人の発達に合わせた環境づくりが重要になります。
自閉症は生後2年までに気づかれるケースが多い
一昔前までは、3歳になるまでは診断できないといわれていました。自閉症に限らず発達障害に対する研究が進み、2歳ごろまでには診断で判明できるケースが増えてきました。ここからは、どのタイミングで自閉症と診断できるのか解説します。
乳幼児健康診断で気づく
これまでは、気づきにくかった自閉症含む発達障害について医学の進歩と国の取り組みで近年では早期発見が可能になりました。
また、2018年株式会社政策基礎研究所が、厚生労働省子ども家庭局母子保健課から委託を受け「乳幼児健康診査における発達障害の早期発見・早期支援のための取り組み事例に関する調査研究報告書」を公表しました。
この研究の背景には、自閉症を含む発達障害を早期発見し、適切な支援につなげていくためには1歳6ヶ月および3歳児を対象とした健康診査での早期発見の重要性が示されています。
幼稚園や保育園の先生からの意見
前述したように、自閉症含む発達障害について多くの人が理解するようになりました。とくに保育現場においては、集団行動が難しいことや言葉の遅れが気になると指摘をされ支援へ繋がるケースがあります。指摘されたからといって、自閉症であると決まったわけではありません。
しかし自閉症や発達障害が疑われた場合は支援へつなげることで、成長とともに現れる生きづらさなど和らげることができる可能性があります。神経質になる必要はありませんが、保育園や幼稚園の先生から気になる様子を聞かれた際は小児科や児童精神科を受診することをおすすめします。
自閉症に関するQ&A
最後に自閉症に関してよくいただく質問に答えていきます。
自閉症に気づくきっかけが何か知りたい
自閉症に気づくきっかけは、下記のとおりです。
- 言葉の遅れ、目が合わないなどの症状
- 保育園や幼稚園から行動が気になると言われる
インターネット環境が整った現在は、沢山の情報があるため親自身が子どもの異変に気づきやすい傾向にあります。
自閉症の原因は妊娠中の食事やストレスですか?
自閉症の原因は、いまだに解明されていません。
情報があふれる現代では、さまざまな憶測が飛び交っていますが食事やストレスが自閉症につながるとは限りません。
自閉症の場合は生後1ヶ月で違和感を感じますか?特徴を知りたい
生後1ヶ月の赤ちゃんが、自閉症であるような違和感を感じることは難しいといえるでしょう。生後1ヶ月の赤ちゃんは、起きている時間が少し長くなったり音に反応したりカラフルな色を見るようになります。どうしても気になる症状がある場合は、小児科などに相談するのも一つの方法です。
自閉症は妊娠中に予兆がありますか?
自閉症は妊娠中におこる予兆は、明らかにあるとは言えません。また出生前検査においても、現在のところ自閉症は分かりません。
自閉症は生まれる前にエコーでわかりますか?
自閉症は、生まれる前のエコー検査では判断できません。エコーで分かるのは、臓器の疾患やダウン症など特定の障害に対する特徴です。
まとめ
本記事では、自閉症がいつ分かるのかについて解説してきました。早期療育が望ましいとされる現在では、医療従事者などへの理解も進み早期の段階で診断を受けられるようになっています。その一方で、少しでも自閉症症状に当てはまると自閉症だと思い込む人がいるのも事実です。
子どもの成長には個人差が大きいため、神経質になる必要はありません。インターネットのみの情報を信じて悩むのではなく、自閉症かもしれないと感じたら小児科や地域の育児相談室などに相談してみるとよいでしょう。