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脳性麻痺、低酸素脳症に対する「骨髄(全種)幹細胞移植」

脳性麻痺、低酸素脳症へ長期的安全性が確認されている,最新「骨髄血中全種幹細胞治療」

お子様の低酸素脳症、脳性麻痺の症状を少しでも改善できる可能性のある骨髄血移植、血中全種幹細胞移植治療、最新治療にご興味はないでしょうか?

脳性麻痺、低酸素脳症は現在根本的な治療法がなく、諦めていらっしゃるご両親が多いと思います。ですが、医学は急激な進歩を遂げ、症状の改善を期待できるようになりました。当院では世界で行われている先進的な最新医療を日本の皆様にも提供できるようにするための医療機関です。治療法がないと悩まれている方のために少しでもお役も立てれば幸いです。

流れとしましては、低酸素脳症、脳性麻痺の一般的な解説からはじまり、当院の治療の原理、内容、治療効果を上げる医学的根拠を解説していきます。長い文章になりますが、ぜひ一読いただき、当治療への理解を深めていただきたいと思います。

目次(脳性麻痺の間葉系幹細胞について)

低酸素脳症、脳性麻痺に対する骨髄血中全種類幹細胞、最新治療

全米Top10に入るDuke(デューク)大学で、当院の近い脳性麻痺に対する血中の全種類の幹細胞を使用する最新骨髄血中幹細胞治療が行われています。日本でのみ主流となっている、1種類のみ(間葉系幹細胞のみ)を使用するものより安全性が高く治療効果も高いものとされていますので、ご注意ください。(特定の細胞をセレクトする作業、培養などの細胞を加工する作業は行いません)

一般に臍帯血などの血中には、間葉系幹細胞、造血幹細胞、Muse(ミューズ)細胞などの多様な細胞が多く入っています。Muse(ミューズ)細胞とは他の幹細胞と同様に多分化能を持ちながら、他の幹細胞の成長をサポートする機能もあります。

これは、アメリカのCBSというニュース番組で紹介された、骨髄由来幹細胞によって脳性麻痺を治療した話です。これは革新的な出来事で、根本的に脳性麻痺のような脳にダメージを受けた病気を治す初めての効果的な試みでした。

※以下、動画の和訳になります。

脳性麻痺の患者の家族にとって、とても素晴らしいニュースです。それは、骨髄幹細胞を使った脳性麻痺の治療です。そして、これはとても効果的な方法です。マックス医師は、脳性麻痺を持つ子供に対し、この間葉系幹細胞治療を紹介すべく参りました。

これは、骨髄間葉系幹細胞の素晴らしい成果を伝える最初の一歩です。これらの骨髄幹細胞は、出生時に提供された臍帯から取ったものです。出生前後で脳の損傷を負い、脳性麻痺になる子供たちがいます。そのような子供たちへの救いとなるのがこの骨髄幹細胞治療なのです。

脳性麻痺,幹細胞移植

それは、かなり無事な出産でした。彼らの初めての子供であるパトリックは、臨月の近くで生まれ、元気そうに見えました。しばらくして、彼は左手を拳のようにして、哺乳瓶を抱え、自分の口元に持っていくようになりました。彼が這っているのを見た時、私たちはそれをとてもかわいいと思っていました。

脳性麻痺,最新治療

しかし、それらの動きをしていたのはすべて、彼の右足だったのです。つまり、左側は脳性麻痺により動かなくなっていました。彼の脳性麻痺の病状は良くなりませんでした。パトリックが歩き始めた時、彼の左足は内側に向いていました。そして彼は少し遅れて歩き、よく転びました。そして、彼が走り始めた時、彼はよく左足からつまずいていました。

脳性麻痺,臍帯血

今日、あなたは12歳になったパトリックを見て、彼がかつて脳の問題を抱えていたとは思わないでしょう。この変化は、6年前に臍帯バンクによるアメリカのロングアイランド島の家族から来た手紙を受け取ったことから始まりました。そこには、アメリカのデューク大学のジョアン医師による画期的な研究に参加したいかどうかを問う内容が書かれていました。

脳性麻痺,幹細胞移植

彼の臨床試験の結果は驚くべきもので、その時出版された雑誌にも収録されました。私たちは、動作機能を制御する神経の接続が回復する事により、動作が出来るようになったのを見る事が出来たのです。そして、私たちは左側が脳性麻痺により動かなくなった子供が、間葉系幹細胞治療によりその領域が修復され発達し、左側の動作が出来るようになったのが分かりました。

脳性麻痺,臍帯血

現在、パトリックは彼の弟についていくのに何の問題もありません。そして、拳のように内側に曲がっていた左手も、スポーツをするのに何の問題もありません。医師たちは、これを治療と呼びたくありません。しかし、これは痙攣性の脳性麻痺を治す唯一の治療法なのです。自身の臍帯を手に入れる事が出来なかった子供たちにとって、間葉系幹細胞は助けとなるのです。そして、彼の両親が言うには、この治療は、彼らが、かつてパトリックに抱いていた夢を取り戻すことを可能にしたのです。現在、間葉系幹細胞治療に限界などないのです

脳性麻痺、低酸素脳症への骨髄幹細胞移植治療の最新治療内容

当院では、骨髄間葉系幹細胞と造血幹細胞、Muse幹細胞を使った骨髄全幹細胞移植を用いた脳性麻痺、低酸素脳症の最新治療を行っています。骨髄全種類幹細胞による治療は、自身の骨髄から骨髄幹細胞や造血幹細胞、Muse幹細胞を採取し、再び自身の体内に静脈から投与する方法です。幹細胞の採取は入院する事もなく、当日行うことが可能です。

重症の脳性麻痺の患者さんにも、対応できるのが、当院の強みです。

骨髄幹細胞治療が脳性麻痺、低酸素脳症に治療効果を発揮する理由

なぜ骨髄全種類の幹細胞が脳性麻痺に効果を及ぼすのでしょうか?不思議に思う方も多いと思います。

脳性麻痺、低酸素脳症は、脳機能障害であり、妊娠中や出産時に胎児への脳の血流が低下する事で起こります。骨髄幹細胞はそのような血流の低下し機能が正常に行えなくなった細胞に対し、幹細胞を投与する事で新しく血管を再生し、脳神経も再生させることで脳機能障害を改善させることが可能です。
静脈内に幹細胞を投与することで、骨髄全種類の幹細胞が血管内を移動し脳性麻痺で変化した脳の細胞に到達することが出来ます。それにより変化した神経細胞を幹細胞が分化した健康な細胞と置き換えることが出来、運動障害が改善され、脳性麻痺を治療することが可能になります。

以下では、より専門的に「なぜ骨髄幹細胞に脳性麻痺の症状改善効果が出るのか」を医学的に解説していきたいと思います。

脳性麻痺に対する骨髄幹細胞と臍帯血幹細胞治療の違い

海外では、脳性麻痺の治療にたいして、骨髄由来の幹細胞と臍帯血由来の幹細胞は同じように使用されています。現在まで、どちらが優れているというような決定的なエビデンスはなく、どちらでも一定程度の改善効果があるとする論文、リサーチが多いです。

当院では骨髄幹細胞を用いますが、アメリカ(とくにデューク大学で行われている)臍帯血と成分は変わりません。例えば、白血病への治療の造血幹細胞移植でも、保険診療において骨髄血と臍帯血は両者使用可能で、治療成績も大きく変わりません。

脳性麻痺への投与も、臍帯血の間葉系幹細胞投与と同様の効果が得られると考えられます。

臍帯血を使用するメリットとしては、骨髄血を採取する手間が省けることですが、デメリットとして保管に伴って生じる細胞劣化のリスク(どのような保管プロセスを行っても、かならず細胞は劣化してしまいます。)および臍帯血がなんらかの操作、もしくは保管中に細菌感染してしまうことがあります。また当院のように患者さん自身の細胞ではなく、デューク大学のように他人の細胞を使用する場合は、アナフィラキシーショックのリスクがあり、実際に症例として報告されています。また他人の細胞を使用するとなると、保管費用、提供者への謝礼など莫大な不必要なコストがかかり、結果不要な治療費がかかってしまいます。幹細胞移植治療は複数回行うこともあるため、ここまで高額になってしまうと現実的ではなく治療としては不適切であると当院は考えています。

逆に骨髄血を使用することのメリットとしては採取後すぐに使用することができ、感染のリスクを最小限(ほぼゼロ)に抑えることができることと細胞劣化がない、治療と関係のない不必要なコストはカットすることができるということです。

また骨髄血では完全に自分自身のものを使用できるので、たとえ近親者でも他人のものを使用する臍帯血移植ではアレルギー、アナフィラキシーショックなどのリスクが生じます。たとえ近親者でHLAが一致していたとしても、他人の細胞の場合はアナフィラキシーショックの可能性がわずかながらあり、実際に他人の細胞を使用した例で、アナフィラキシーが生じた症例も報告されています(当院の治療では生じ得ません)。

生じてしまうと致死的になり得る為、安全性の面から言えば、骨髄血の穿刺自体の治療手技は現在はとても安全なものになりましたので、アレルギー、アナフィラキシーのリスクのない同一人物のものを使用する当院の治療法の方が優れていると考えています。

骨髄血の穿刺自体は、日常的に小児の白血病などの血液疾患の患者方に世界中で、ものすごい数が行われているものであって、安全性が確立した治療手技です。

こちらの解説でもお分かり頂けると思いますが、「大病院がやってるから安全だ」、「大病院がやってるから優れている」などということは全くありません。

それは、重ねてになりますが、治療法の内容の理解を放棄してしまって、ヒューステリック(本質的内容以外の点で判断してまうこと)に依存してしまっていることからくるものでありますので、最先端の医療を受けられる場合は、治療内容の理解というものを絶対に放棄することなく、決断いただきたいたいと思います。

 

脳性麻痺、低酸素脳症に対する骨髄幹細胞治療のエビデンス、医学研究、医学論文の紹介

そうは言っても、骨髄全幹細胞が脳の神経に成長するって、「本当に見たの?」という疑問や、「本当に効果あったの?」という疑問が湧いてくると思います。当然の疑問です。それに理論的にお答えするために、その疑問に対応する医学研究を皆様にご紹介したいと思います。

骨髄幹細胞が脳の神経細胞に成熟する様子

以下、骨髄間葉系幹細胞が神経を培養する培地で、次々と分裂するのを実際に観察した実験結果です。これ以上の説得力のあるものはありません。実際に「見た」わけですから

下記は、骨髄間葉系幹細胞が神経細胞になる様子です。すなわち幹細胞が神経に分化できる事がわかりました。

幹細胞

A:培地に間葉系幹細胞を注入して7.5時間、9.5時間、10.5時間、15.5時間後の結果です。
図から分かる通り、間葉系幹細胞は神経細胞に分化する事が出来ます。

引用論文

骨髄間質細胞、有糸分裂、および神経分化:間葉系幹細胞と前駆細胞の機能

脳性麻痺、低酸素脳症に対する骨髄幹細胞治療の治療効果①

次は、実際の脳性麻痺、低酸素脳症のお子様に骨髄全種類の幹細胞を投与した際の、臨床的な変化を確認した研究をご紹介します。脳性麻痺の画期的な治療である骨髄全幹細胞治療について、脳性麻痺の患者17名を対象に骨髄全幹細胞を注入し、その効果を運動機能の観点から確認した論文を紹介いたします。

患者の年齢は1.5歳から17歳でした。患者は、自分の骨髄幹細胞を投与しました。運動機能はGMFCSという分類に基づき、レベル1~5で評価されます。レベルが上がるにつれて運動が出来なくなります。レベル1,2では自立して移動が出来ますが、レベル3は補助装置により移動が可能で、レベル4,5では自力で移動する事は出来ません。

骨髄全幹細胞を注入した人の内、15人が注射前後での効果を測定することが出来、そのうち11人は大幅に機能が改善し、運動が出来るようになりました。結果は以下の通りです。

被験者

GMFCS
投与前

GMFCS
投与後

認知の
変化

空間
変化

1

5

4

変化なし

変化なし

2

5

5

変化なし

変化なし

3

4

2

変化なし

変化なし

4

2

2

変化なし

変化なし

5

5

-

変化なし

-

6

1

0

変化なし

変化なし

7

4

3

改善された

改善された

8

2

2

改善された

改善された

9

5

5

変化なし

変化なし

10

5

4

変化なし

変化なし

11

4

3

改善された

改善された

12

2

1

変化なし

変化なし

13

5

4

改善された

改善された

14

5

-

-

-

15

5

2

改善された

改善された

16

4

2

改善された

改善された

17

5

4

変化なし

変化なし

ほとんどの患者は、大幅に運動機能が改善しました。4人の患者は、完全に自立して移動できるほど改善しました。

以上の結果から、骨髄幹細胞の投与は、脳性麻痺による運動機能障害を改善させることが出来ると分かりました。骨髄幹細胞の一回の投与で、変化してしまった脳の細胞に到達し、新しい正常に機能する細胞と取り換える事が出来るのです。治療効果も7割以上と非常に高い効果を示しています。

引用論文

骨髄全幹細胞による脳性麻痺の治療:17症例の報告

脳性麻痺、低酸素脳症に対する骨髄全幹細胞治療の治療効果②

ここで、12歳の脳性麻痺、低酸素脳症の患者に自己組織由来の骨髄幹細胞を投与し、6か月後にその効果をPET-CTスキャンによって観察し機能改善が確認され、自力で日常生活を行えるまで社会復帰を果たした症例を紹介いたします。

患者は、生まれつきの脳性麻痺があり、けいれんはありませんでしたが、自力で歩行することは出来ず、屋外では車いすで移動していました。日常生活のほとんどで援助を必要とし、足は変形していました。運動機能分類システム(GMFCS)ではレベル3で、認識は正常で年齢に応じた理解力と表現力はありました。


実験は、患者の骨盤から採取された骨髄を用い、骨髄全幹細胞を投与しました。投与一週間後から、患者は改善を示し始めました。クラウチ歩行(しゃがんで歩くこと)が減少し、特に上肢の機能が向上したことで、自力でTシャツを着られるようにまで改善しました。

 

投与後6ヶ月後、患者は少なくとも45分間ひざまずくことが出来るようになりました。自力でベッドから起き上がること、座ること、床から起き上がることが出来るようになり、姿勢も以前より直立するようになりました。日常生活では自力でトイレに行くことが出来るようになり、手書きの速度も上昇し、食事も自力で取れるようになりました。この改善効果は投与後1年まで続きました。


以下、脳のPET-CTスキャンの画像です。
PET検査とは陽電子放射断層撮影のことで、がん細胞に目印を付けてがんを正確に発見できることで有名です。しかし、PET検査はがんだけでなく、脳血管障害に対しても有効に利用することができます。脳の血流や代謝の状態を画像として捉え、脳血管障害の重症度評価、治療方針の決定、治療効果判定などを行います。

下記は、間葉系幹細胞の投与前後を比較した脳のCTスキャンです

上の図(骨髄全種類幹細胞投与前)では青くなっている領域は脳が活動していないことを示しています。下の図(骨髄全種類幹細胞投与後)では脳全体から青い領域が消え、赤い活動領域も増えて脳の活動が回復していることを示します。

幹細胞,改善,脳

a(i)~c(i):骨髄全幹細胞投与前
a(ii)~c(ii):骨髄全幹細胞投与後6か月
PET-CTでは代謝機能を測定しますが、青色は代謝低下を示し、緑は正常な代謝を示します。(i)の投与前と(ii)の投与後を比較すると、青色の代謝が低い部分が改善され、緑の正常な代謝に代わっていることが分かります。
代謝は脳の血流が元に戻る事で正常に改善されます。つまり、骨髄幹細胞の投与により代謝が改善し、脳の血流も改善しているのです。骨髄幹細胞は、脳の血流を再び通す作用もある事が分かります。

引用論文

①骨髄単核細胞移植後の脳性麻痺の症例における生活の質の改善

②香川大学医学部付属病院

骨髄幹細胞治療で期待できる体内の効果

以下は、骨髄全幹細胞投与により脳性麻痺の患者の脳のダメージを修復している図です。

幹細胞投与により脳性麻痺による脳のダメージを修復している図

脳性麻痺、低酸素脳症により変化してしまった脳の神経細胞を、骨髄幹細胞を静脈内投与する事で、正常な神経細胞に置き換える事が可能です。静脈内投与である為、大がかりな手術も必要なく、数回の通院で、または往診で治療することが出来ます。また、間葉系幹細胞には炎症を抑える作用もあり、神経細胞が変性してしまうことを根本的に防ぐことも出来ます。

脳性麻痺の間葉系幹細胞治療の現状:患者、家族、およびサービスプロバイダーのためのガイド

ミューズ(Muse)細胞も投与する骨髄全種類幹細胞治療

骨髄全種類幹細胞治療は、上記の通り、1種類のみを投与する幹細胞治療より、より効果が高い、安全性が高いと考えられています。実際に、1種類のみの治療ではこのミューズ細胞は投与されません。

ミューズ細胞とは、身体のほとんどの細胞に分化することの出来る多能性幹細胞で、人の皮膚や骨髄に存在します。ES細胞と異なり、ミューズ細胞はストレスに強く、生体に元々存在する細胞である事から、癌のような腫瘍を作るリスクがとても低いメリットがあります。つまり、癌化する心配なく、様々な細胞や臓器になることの出来る細胞がミューズ細胞なのです

ここで、ミューズ細胞を投与し、4週間後と5ヶ月後の行動を測定し、ミューズ細胞の投与によって、脳性麻痺による運動障害が改善したことを示す論文を紹介いたします。

幹細胞移植,治療効果

上図は周産期低酸素性虚血性脳症(HIE)のマウスにおける多動性を比較したもので、ミューズ細胞を投与したマウスは4週間後と比較して5ヶ月後大きく一般的な自発運動、ならびに認知および運動機能の顕著な改善を示しました。以上の結果から、脳性麻痺の患者にミューズ細胞を投与する事で、不可能であった行動障害をも改善できることが分かりました。

周産期低酸素性虚血性脳症の細胞ベースの治療

静脈内投与された多系統分化ストレス耐性細胞は、実験的周産期低酸素性虚血性脳症における過剰なグルタミン酸代謝とミクログリア活性化を弱める

既存の治療と一般的な治療と比較したメリット

骨髄幹細胞治療は脳性麻痺を根本的に治すことが出来る唯一の治療法とも言えるでしょう。治療は他の分野の治療として、数十年に渡って行われて生きていることで安全性も確立されています。

骨髄幹細胞治療は、脳性麻痺患者の脳内の傷ついた細胞を新しく機能する細胞に置き換える再生療法です。一般治療は対症療法で、根本的に治す治療ではありません。また、手術は患者さんへの負担も大きく、リスクを伴います。対して、骨髄幹細胞治療は変化してしまった神経細胞を正常な細胞に置き換えることが出来、炎症反応も抑制する事から、根本的に病気を治療する手段と言えます。脳性麻痺の一般治療は投薬や手術がありますが、手術はそのリスクも大きく、投薬は一過性に過ぎません。一方、間葉系幹細胞治療は脳性麻痺を起こしている脳の傷ついた細胞を、新しい正常に機能する細胞と取り換えることで、その細胞によって司られる運動障害を緩和し、正常な運動状態へと再生します。これが間葉系幹細胞治療による最大のメリットであり、幹細胞治療は一般治療と異なり、根本的に治療できる画期的な治療方法です。静脈内投与である為、大掛かりな手術を必要とせず、比較的簡易に行うことも出来、画期的な治療方法と言えるでしょう。

引用先
CanChild

骨髄幹細胞治療の流れ

当院での治療の流れを説明します。大まかな流れとして、小学生以下のお子様に関しては、静脈麻酔をかけます。

その後、まず患者さんの骨髄を採取して、静脈に点滴で間葉系幹細胞を移植します。1回治療を行い、治療効果を判定し、次回以降の治療を決定します。患者さんの病気の状況次第で臨機応変に対応いたします。

ここで、骨髄幹細胞を取る際の方法として、骨髄穿刺を行いますが、骨髄穿刺と脊髄穿刺を混同している患者さんが多く見受けられます。

骨髄穿刺と脊髄穿刺の違いについて、こちらをご覧ください

実際に期待できる症状の改善の例

医学論文では、以下の通りの効果が実証され報告されています。特に運動機能の改善が報告されている報告が多いです。

  • 痙攣の程度が減少しました
  • 腸と膀胱の機能が改善しました
  • 自力で運動できるようになりました
  • 認知能力が向上しました
  • より活動的になりました

引用文献

骨髄全幹細胞による脳性麻痺の治療:17症例の報告

また、実際に海外の間葉系幹細胞治療センターで、間葉系幹細胞により脳性麻痺を治療することで得られる効果を以下の通り報告しています。

  • 四肢(手足)の緊張が緩和します
  • バランスが取れるようになります
  • 外部の事柄への関心が持てるようになります
  • 集中力、記憶力、学習能力などの精神発達が向上します
  • 社会適応が出来るようになります

脳性麻痺について、もっと詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。

1.脳性麻痺の歴史

脳性麻痺とは、受精から生後4週までに何らかの原因で脳が傷つき、運動障害を引き起こす障害のことです。主に出生時の胎児への脳のけがによって起こります。脳性麻痺は古代から人類に影響を及ぼしています。脳性麻痺は、1853年にジョンリトル博士によって研究されました。リトル博士の脳性麻痺の研究は1830年代から始まり、出生時の子供の脳のけがにより、子供にどのように影響を与えるかについて講演してきました。彼は1861年、ロンドンの産科学会で研究を発表し、脳性麻痺の最初の定義を提供しました。彼はその当時、出生時、脳を怪我した子供は痙攣を引き起こす神経系を持つと定義し、これが脳性麻痺の最初の定義となりました。脳性麻痺という用語が定着されるまで、リトル病と呼ばれていました。

引用先

公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 情報センターDINF 障害保健福祉研究情報システム

Cerebral Palsy Guidance

2.脳性麻痺の原因

先天性脳性麻痺

出生前または出産中に起こった脳性麻痺は、先天性脳性麻痺と呼ばれ、脳性麻痺の85~90%を占めます。多くの場合、具体的な原因は不明です。
危険因子は以下の通りです

低出生体重

出生時の体重が2500g未満特に1500g未満

早産

妊娠37週より前に生まれた子供、特に妊娠32週より前に生まれた場合

多胎出産

双子や三つ子の場合、出生前、出産直後、脳性麻痺になる可能性が高くなります。これは、子供が早産で生まれるか、低体重で生まれることが多いためです

生殖補助医療

不妊治療の使用により妊娠した子供は、早産か多産が多くなるため脳性麻痺の可能性が高まります

妊娠中の感染症

妊娠中の感染症により、母体のサイトカインと呼ばれる炎症時に放出されるたんぱく質が増加する事で、母体から胎児の血液中にサイトカインが流れ、胎児の血液中のサイトカインが増えることで炎症を引き起こし、胎児の脳を怪我させる可能性があります。

黄疸

黄疸は、新生児の皮膚に見られる疾患です。黄疸は、ビリルビンと呼ばれる代謝物質が血液中に溜まりすぎることで起こります。

出産時の合併症

胎盤剥離、子宮破裂、出産時の臍帯(へその緒)の問題によって、胎児への酸素供給が不十分になり、脳性麻痺を引き起こす可能性があります。

CDC

3.脳性麻痺の疫学

脳性麻痺は、小児におけるもっとも一般的な運動障害です。有病率の推定値は、子供1000人あたり1.5~4人の割合で起こると言われています。CDCによると、323人に1人の子供が脳性麻痺と推定されています。
以下、2008年ADDMによって調査された8歳の子供の脳性麻痺有病率です。

下記は、脳性麻痺の場所の分布の推移です

脳性麻痺最新治療

1000人あたり、アラバマ州では3.2人、ジョージア州では3.6人、ミズーリ州では2.5人、ウィスコンシン州では3.1人の有病率を示しました。

引用文献

CDC

4.脳性麻痺の症状

脳性麻痺は、主に4つの型に分けられます。

①けい直型

脳性麻痺の70%を占め、筋肉がこわばり筋力が低下します。筋肉のこわばりを起こす部位は以下の通りです。

  • 両腕と両脚(四肢麻痺)
  • 両腕よりも両脚(両麻痺)
  • ときに片側の腕と脚のみ(片麻痺)
  • まれに両脚と下半身のみ(対麻痺)

視覚・認知障害、斜視を合併することが多く見られます。最も重症なのは四肢麻痺で、けいれん発作や知的障害、誤嚥がよく見られます。片麻痺、両麻痺、または対麻痺の小児の多くは、知能は正常で、けいれん発作を起こす頻度も下がります。

②アテトーゼ型

アテトーゼとは、体をよじらせる不随意運動のことです。脳性麻痺の約20%に見られます。腕や脚、体幹の筋肉が不随意にゆっくりと動く症状を有します。よじれるように動いたり、断続的に動いたり、突然動くことがあります。感情の強さによって症状の激しさも増し、睡眠中は生じません。知能は正常でけいれん発作を稀に起こします。言葉をはっきりと発音する事は困難であることが多いです。

③運動失調型

脳性麻痺の5%未満に見られます。歩行時など、体の各部位を制御して調節することが困難になっている状態で、筋力が低下しています。具体的には、体がうまく調節できず、手を伸ばした時に震えたり、素早く動くことや細かい動きをすることが困難になります。両足を広げた不安定な歩き方をする特徴があります。

④混合型

①~③までの型が2つ混合した状態で、ほとんどがけい直型とアテトーゼ型の混合型です。この場合、重い知的障害が見られることが多くあります。

引用先
MSDマニュアル家庭版

5.脳性麻痺の診断

脳性麻痺が疑われる場合、まず脳の画像診断(MRI検査)を行います。また、脳性麻痺を直接特定する検査にはなりませんが、他の病気を調べて原因を特定するために、神経と筋肉の機能を調べる血液検査も併せて行います。通常、脳性麻痺がある場合、MRIで検出することが出来ます。

引用先
MSDマニュアル家庭版

6.脳性麻痺の病態

古くから、脳性麻痺の原因は胎児の脳への酸素供給不足であると考えられてきました。しかし、現在脳性麻痺の原因には、出生前、周産期、出生後の様々な要因が関係していることが判明しています。脳性麻痺はほとんどの場合遺伝的要因と環境要因の相互作用による結果です。主に、原因は、早産児の脳の白質と、満期の新生児の灰白質と脳幹の核に由来すると言われています。低酸素性の虚血を起こす要因は、炎症を引き起こすサイトカインの過剰産生、酸化ストレス、母体の成長因子の枯渇、グルタミン酸の過剰放出です。これらを治療できるのは、2歳児の脳性麻痺の症状を緩和する事に成功した、硫酸マグネシウム投与のみと分かっています。

引用論文

脳性麻痺の病態生理学

7.脳性麻痺の予後

一般に、脳性麻痺の患者はほとんどが死亡せず成人します。予後は脳性麻痺の型とその重症度によって左右されます。適切な治療により、多くの患者、特に対麻痺、片麻痺の患者はほぼ普通の生活を送ることが可能です。

引用先
MSDマニュアル家庭版

8.脳性麻痺に罹患した著名人

徳川家重(江戸幕府9代将軍)

9.脳性麻痺の既存の治療法

脳性麻痺の患者は、適切な治療を行うことで自立した生活を送れるようになることが可能です。以下の治療法があります。

①理学療法、作業療法、言語療法

装置の使用により、筋肉のこわばりを解消し、歩行を改善します。特に、リハビリを早期に行うことで効果も上がります。言語療法により、はっきりと言葉を話せるようになり、誤嚥も少なくなります。

引用先
MSDマニュアル家庭版

②投薬治療

バクロフェンという抗痙攣薬を脊髄髄液腔内に投与する事で、治療します。2006年にようやく保険適応になった治療法で、従来の経口投与と比較し、直接髄液に投与する事で効果を示しますが、基本的には対象療法となります。

引用先
東京女子医科大学脳神経外科

③手術

一般に、選択的脊髄後根遮断術という手術を行います。脊髄には運動を司る反射弓という経路があり、その運動経路である脊髄の後根を意図的に遮断する事でけいれんなどの症状を緩和させます。

引用先
東京女子医科大学脳神経外科

文責:パジル タカヒロ(著書 「いちばんやさしい幹細胞治療ハンドブック」)

 

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