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多発性硬化症(MS)に対する幹細胞治療

1.多発性硬化症(MS)の種類

多発性硬化症の種類は以下の通りです。

再発寛解型

増悪と寛解が交互にみられ,寛解期には部分的または完全な回復に至り,症状が安定したりします。寛解期は数カ月から数年持続することがあります。増悪は自然に生じることもあれば,インフルエンザなどの感染症が引き金となることもあります。

一次性進行型

疾患が進行しない一時的な停滞期間がみられることはありますが,寛解はなく,緩徐に進行していきます。再発寛解型とは異なり,明らかな増悪はみられません。

二次性進行型

再発と寛解の繰り返し(再発寛解型)で始まり,その後緩徐に疾患が進行します。
進行再発型:緩徐に進行するが,その過程で突然の明らかな再発がみられます。この型はまれです。

MSDマニュアル
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB/07-%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%96%BE%E6%82%A3/%E8%84%B1%E9%AB%84%E7%96%BE%E6%82%A3/%E5%A4%9A%E7%99%BA%E6%80%A7%E7%A1%AC%E5%8C%96%E7%97%87-ms

2.多発性硬化症の病態

多発性硬化症は、中枢神経の髄鞘タンパクあるいはオリゴデンドロサイトを標的とした自己免疫応答によると考えられています。しかし、免疫応答の引き金となる自己抗原は未だ同定されていません。再発寛解期では、T細胞やB細胞といった獲得免疫系による急性炎症が病因であると言われています。また、ミクログリアなどの自然免疫系の活性化による慢性炎症や、軟髄膜のリンパ濾胞様構造からの自己抗体産生が病因と言われていますが、未だ明らかではありません。

日本神経学会
https://www.neurology-jp.org/guidelinem/koukasyo_onm_2017.html

3.多発性硬化症の疫学

多発性硬化症は、欧米では若年成人を侵す神経疾患の中で最も多い疾患で、北ヨーロッパでは人口10万人に50人から100人程度の有病率です。日本では、10万人あたり1~5人程度とされていましたが、最近の各地での疫学調査や2004年の全国臨床疫学調査などによると、国内に約12,000人の患者がおり、人口10万人あたり8~9人程度と推定されています。平均発病年齢は30歳前後です。15歳以下の小児に発病することは稀ではありませんが、5歳未満や60歳以上での発症は稀です。多発性硬化症は女性に多く、男女比は1:2~3程度です。

小児慢性特定疾病情報センター
https://www.shouman.jp/disease/details/11_36_079/

4.多発性硬化症の原因

多発性硬化症の原因として考えられるものは以下の通りです。

  • 若い時にヘルペスウイルスやレトロウイルス他何かの物質に曝され、それが引き金となって免疫系が自己組織を攻撃している
  • 親または兄弟が多発性硬化症による遺伝
  • 15歳までに温帯地域で育った人は、熱帯地域や赤道周辺で育った人より多発性硬化症になりやすい
  • ビタミンDの血中濃度が低い
  • 喫煙

MSDマニュアル
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/09-%E8%84%B3%E3%80%81%E8%84%8A%E9%AB%84%E3%80%81%E6%9C%AB%E6%A2%A2%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E5%A4%9A%E7%99%BA%E6%80%A7%E7%A1%AC%E5%8C%96%E7%97%87%E3%81%A8%E9%96%A2%E9%80%A3%E7%96%BE%E6%82%A3/%E5%A4%9A%E7%99%BA%E6%80%A7%E7%A1%AC%E5%8C%96%E7%97%87-ms#:~:text=%E5%A4%9A%E7%99%BA%E6%80%A7%E7%A1%AC%E5%8C%96%E7%97%87%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%9B%A0%E3%81%AF%E4%B8%8D%E6%98%8E%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8C,%E3%81%8C%E6%90%8D%E5%82%B7%E3%82%92%E5%8F%97%E3%81%91%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

5.多発性硬化症の症状

最もよくみられる初期症状は以下の通りです。

  • 一肢または複数肢,体幹,または顔面半側の錯感覚
  • 下肢または手の筋力低下または巧緻運動障害
  • 視覚障害(例,球後視神経炎による片眼の部分的視力障害および疼痛,核間性眼筋麻痺による複視,暗点)

その他の一般的な初期症状としては,四肢の軽度のこわばりや異常な易疲労性,軽度の歩行障害,膀胱制御困難,回転性めまい,軽度の感情障害などがあり,これらはいずれも通常は中枢神経系が散在的に侵されていることを意味し,ごく軽微な場合もあります。疲労感がよくみられます。高熱の影響(例,暑い天候,熱い風呂,発熱)によって症状と徴候が一時的に増悪することがあります(Uhthoff現象)。

軽度の認知症の症状がよくみられます。無関心,判断力の欠如,または不注意が生じることもあります。情緒不安定や多幸感など感情面の障害がよくみられ,なかでも抑うつが最もよくみられます。抑うつは反応性の場合もあれば,MSの脳病変に部分的に起因している場合もあります。少数の患者では痙攣発作がみられます。

MSDマニュアル
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB/07-%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%96%BE%E6%82%A3/%E8%84%B1%E9%AB%84%E7%96%BE%E6%82%A3/%E5%A4%9A%E7%99%BA%E6%80%A7%E7%A1%AC%E5%8C%96%E7%97%87-ms

6.多発性硬化症の診断

多発性硬化症は以下の手順で診断します。

1.多発性硬化症(MS)

中枢神経内に時間的空間的に病変が多発する炎症性脱髄疾患です。

A)再発寛解型MSの診断

下記のa)あるいはb)を満たすこととします。

a)中枢神経内の炎症性脱髄に起因すると考えられる臨床的発作が2回以上あり、かつ客観的臨床的証拠がある2個以上の病変を有します。ただし、客観的臨床的証拠とは、医師の神経学的診察による確認、過去の視力障害の訴えのある患者における視覚誘発電位(VEP)による確認あるいは過去の神経症状を訴える患者における対応部位でのMRIによる脱髄所見の確認です。

b)中枢神経内の炎症性脱髄に起因すると考えられ、客観的臨床的証拠のある臨床的発作が少なくとも1回あり、さらに中枢神経病変の時間的空間的な多発が臨床症候あるいは以下に定義されるMRI所見により証明されます。

B)一次性進行型MSの診断

1年間の病状の進行(過去あるいは前向きの観察で判断する。)及び以下の3つの基準のうち2つ以上を満たします。a)とb)のMRI所見は造影病変である必要はありません。脳幹あるいは脊髄症候を呈する患者では、それらの症候の責任病巣は除外します。

a)脳に空間的多発の証拠がある(MSに特徴的な脳室周囲、皮質直下あるいはテント下に1個以上のT2病変がある。)。

b)脊髄に空間的多発の証拠がある(脊髄に2個以上のT2病変がある。)。

c)髄液の異常所見(等電点電気泳動法によるオリゴクローナルバンド及び/あるいはIgGインデックスの上昇)
ただし、他の疾患の厳格な鑑別が必要です。

C)二次性進行型MSの診断

再発寛解型としてある期間経過した後に、明らかな再発がないにもかかわらず病状が徐々に進行します。

難病情報センター
https://www.nanbyou.or.jp/entry/3807

7.多発性硬化症の予後

多発性硬化症は若年成人によく起こり、再発寛解を繰り返して経過が長期にわたります。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害が残り、ADL(日常生活動作)が著しく低下する症例が少なからず存在します。多発性硬化症の一部と言われている視神経脊髄炎では、より重度の視神経、脊髄の障害を起こすことが多くあります。

経過は極めて多様であり,予測不可能です。大部分の患者,特にMSが視神経炎で始まった患者の場合には,寛解が数カ月から10年以上持続することがあります。

難病情報センター
https://www.nanbyou.or.jp/entry/3807

MSDマニュアル
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB/07-%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%96%BE%E6%82%A3/%E8%84%B1%E9%AB%84%E7%96%BE%E6%82%A3/%E5%A4%9A%E7%99%BA%E6%80%A7%E7%A1%AC%E5%8C%96%E7%97%87-ms

8.多発性硬化症の罹患した著名人
  • 林家こん平
  • ジャックオズボーン
  • ロニーレイン

目次

多発性硬化症の一般的な治療法(保険診療)

多発性硬化症の治療は、薬物療法が行われています。
急性期は、ステロイドパルス治療が第一選択です。症状の改善が乏しいときは、1~2クール追加し、それでも効果がないときは、血漿浄化療法を試みます。
急性増悪期では、副腎皮質ステロイド薬による治療を行います。
再発寛解型多発性硬化症に対する再発予防には、インターフェロン製剤が有効です。
また、対症療法として、痙縮には理学療法が基本です。強い痙縮には、筋弛緩薬を用いた薬物療法、ボツリヌス注射によるブロック療法、バクロフェン髄注療法を順次考慮します。

日本神経学会
https://www.neurology-jp.org/guidelinem/koukasyo_onm_2017.html

多発性硬化症の当院の独自の治療内容

当院では、骨髄幹細胞と造血幹細胞を使った多発性硬化症の治療を行っています。幹細胞による治療は、自身の骨髄から骨髄幹細胞や造血幹細胞を採取し、再び自身の体内に静脈投与する方法です。幹細胞の採取は入院する事もなく、当日行うことが可能です。
また、当院では医師が患者さんのお宅へ出向く在宅診療も行っています。どのような患者さんにも、対応できるのが、当院の強みです。

多発性硬化症の幹細胞治療の効果の出る理論

多発性硬化症は、中枢神経系が慢性的に炎症を起こしている疾患です。この病気は複雑で多因子性ですが、主な病因は、ミエリンタンパク質に対する免疫系細胞(TおよびBリンパ球)の異常な反応によって表されるようです。間葉系幹細胞は万能な細胞で、間葉系幹細胞の静脈投与により、多発性硬化症を引き起こす免疫細胞であるT細胞の増殖を阻害します。また、別の報告では、プロテオリピドタンパク質(PLP)という特異的な抗体の産生が減少することにより、病原性体液性免疫応答が阻害されるとも言われています。

また、間葉系幹細胞の特徴を活かし、多発性硬化症によって損傷を受けた神経のニューロンを新しいものと取り換える事が出来ます。神経新生と髄鞘再形成をもたらす可能性があるのです。このようにして、幹細胞は多発性硬化症の治療を担うのです。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4397514/

多発性硬化症の幹細胞治療の効果のエビデンス、研究、論文紹介

多発性硬化症には、幹細胞治療が有効であると言われています。その効果を検証した論文を紹介いたします。多発性硬化症の患者15人に対し、自己由来の骨髄幹細胞を、1/3は静脈内投与(血液から投与)、2/3は髄腔内(背骨の中)に投与しました。効果は移植後1,3,6ヶ月で計測されました。

多発性硬化症患者の拡張障害状態スケール(EDSS)スコア

グラフから分かるように、多発性硬化症の患者では、平均EDSSスコアは治療前の6.7から1か月で6.1、3か月で5.9、6か月後の5.9に徐々に低下しました(機能の改善を示します)。

以上の結果から、幹細胞の投与は多発性硬化症の患者の治療に非常に効果的であることが分かります。

また、髄腔内投与により、MRIの結果、幹細胞が腰椎接種部位から後角、髄膜、脊髄根、および脊髄実質に播種する可能性があることを示しました。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3036569/

次に、50歳の男性が再発寛解型多発性硬化症と診断された患者に、間葉系幹細胞を髄腔内および静脈内注入で治療した症例を紹介いたします。幹細胞を二回注入後、患者は全身の痛みが大幅に減少したと報告しました。幹細胞注入の3ヶ月後、認知能力の改善と、四肢の痙攣がほぼ完全に無くなったことを報告しました。幹細胞注入の3か月後に行われた神経学的評価では、脳神経機能が正常で眼振がなく、萎縮や線維束性収縮のない正常な運動機能、感覚および小脳機能と精神状態が正常になったことが明らかになりました。幹細胞治療の6か月後に得られた新しいMRI画像は、幹細胞治療前に観察された病変と非常によく似た病変を示しました


A,B:幹細胞治療前
脳室周囲および皮質下の白質における明るい信号の複数の小さな病巣を示しています。
C:幹細胞治療6ヶ月後
脳室周囲および皮質下の白質プラークに有意な変化がないことを示しています。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2679713/

多発性硬化症の幹細胞治療の臨床的な期待できる効果

多発性硬化症の幹細胞治療の論文では、以下の通りの効果が実証されています

  • 多発性硬化症によって損傷した神経を再生する事が出来ました
  • 免疫的にも強化されたことが分かりました
  • 神経を保護する効果があることが分かりました
  • 多発性硬化症で障害された運動が徐々に改善されました

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3036569/

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4397514/

多発性硬化症の幹細胞治療の一般的な治療と比較したメリット

一般に、現在行われている治療は薬物療法です。これらは対症療法であり、多発性硬化症を根本的に治す治療ではありません。対して、幹細胞治療は変化してしまった神経細胞を正常な細胞に置き換えることが出来、炎症反応も抑制する事から、根本的に病気を治療する手段と言えます。また、静脈内投与である為、比較的簡易に行うことも出来、画期的な治療方法と言えるでしょう。

多発性硬化症の幹細胞治療の治療の流れ

当院での治療の流れを説明します。大まかな流れとして、まず患者さんの骨髄を採取して、静脈に点滴で幹細胞を移植します。1回治療を行い、3か月後に治療効果を判定し、次回以降の治療を決定します。患者さんの病気の状況次第で臨機応変に対応いたします

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