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骨髄穿刺と脊髄穿刺の違い

骨髄採取と聞いて、背中にある脊髄から髄液を取るものだと思っている方は多いのではないでしょうか。実は、骨髄穿刺と脊髄穿刺は全くの別物なのです。ではそれぞれの違いについて説明して行きます。

 

  • 骨髄穿刺とは

骨髄穿刺とは、骨の中の骨髄を取ることです。骨髄とは骨の中にあるスポンジ状の組織のことで、血液の成分である白血球、赤血球、血小板などの血球をつくる工場の役割を果たします。その中で、骨髄を満たしている液(骨髄液)を取るのが骨髄穿刺となります。骨髄穿刺は脊髄穿刺と異なり、脳脊髄液には関与しないため、頭痛を引き起こすことはありません。

 

具体的には、患者さんに横ばいになっていただき、腸骨という体を支える骨盤を構成する骨の一つに対し行います。まず、皮膚の一部に局所麻酔をして、さらに針を進めて骨の表面も十分に麻酔をします。次に局所麻酔した部位から骨髄穿刺針を用いて骨に穴をあけ、中の骨髄液を注射器で吸引します。局所麻酔で終わるため、だいたい30分程で骨髄穿刺を終了することが出来ます。穿刺部位としては、後腸骨棘は厚みがあるので合併症も少なく安全性が高いため、現在では最も一般的な穿刺部位となっています。

骨髄穿刺を行う道具

骨髄穿刺部位

 

日経メディカル

 

 

  • 脊髄穿刺とは

脊髄穿刺とは、通称腰椎穿刺と呼ばれ、脊髄に注射し、そこに流れる脳脊髄液を取る方法のことです。脳脊髄液の成分を調べることで、脳や脊髄の病気の診断をします。主な痛みは最初の麻酔によるもので、背中に針を刺して、背骨の後ろにある脊柱管という管から脳脊髄液を採取します。通常取るのに1時間程要します。脳脊髄液は頭から背中の脊髄まで共通して流れているため、脊髄から脳脊髄液を取ることで後で頭痛を起こす事もあります。ほとんどの場合、安静にしていれば数日以内に治まります。骨髄穿刺と混同する患者さんが勘違いをされるのは、ほとんどこの脊髄穿刺です。

 

脊髄穿刺が採取する脳脊髄液は、脳と脊髄を覆っている3層の組織(髄膜)のうち、中間の層と内側の層との間にある空間(くも膜下腔)を流れています。髄液を採取するには、脊柱の下の方にある2つの椎骨の間に中空の細い針を刺し込みます。通常、患者さんには膝を胸の方に曲げた状態で横向きに寝ていただき、行います。

脊髄穿刺方法

MSDマニュアル家庭版

 

 

  • 脳脊髄液が脳と繋がっているイメージ図

脳脊髄液が脳と脊髄で繋がっているイメージ

引用元:ネッタ―解剖学アトラス原著第3版

 

  • 骨髄穿刺と脊髄穿刺の具体的な違い

①骨髄穿刺は骨の中から骨髄を取るもので、脊髄穿刺は脊髄に流れる脳脊髄液を採取します

②骨髄穿刺は脳脊髄液に関与しないため、頭痛などが起こることはありません

③骨髄穿刺は局所麻酔で30分程で行われます

 

  • 骨髄穿刺と脊髄穿刺の採取場所の違い

以下、図を用いてそれぞれの注射場所の違いを説明します。

骨髄穿刺と脊髄穿刺の穿刺場所の違い


引用元:ネッタ―解剖学アトラス原著第3版

 

 

 

 

 

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