メニュー

糖尿病に対する幹細胞治療

1.糖尿病の種類

前糖尿病(Prediabetes)

前糖尿病(Prediabetes)は、血糖値が正常より高く、糖尿病には至っていない状態のことです。

該当範囲

空腹時血糖値が100~125mg/dLの範囲、またはブドウ糖負荷試験2時間後の血糖値が140~199mg/dLの範囲

1型糖尿病

1型糖尿病では、体の免疫系が膵臓の インスリンを産生する細胞を攻撃することで、90%を超える細胞が破壊されて回復不能になり、膵臓は インスリンをほとんど産生出来なくなります。糖尿病患者のうち約5~10%が1型です。多くの患者は、30歳より前に発症します。

2型糖尿病

2型糖尿病は、多くの場合、膵臓で インスリンが産生されており、初期においては正常値より高い場合もあります。しかし、インスリンの作用に抵抗性を示し、体内のインスリンだけでは体の需要を満たせなくなります。進行するにつれ、膵臓がインスリンを産生する能力が低くなります。

通常は30歳以上の人が発症し、高齢になるにつれて患者は多くなります。65歳以上の約26%の人が2型糖尿病にかかっています。(MSDマニュアル調べ) また、2型糖尿病は遺伝する傾向があります。

肥満は主な危険因子で、2型糖尿病患者の80~90%が肥満です。肥満によって インスリン抵抗性が引き起こされ、正常な血糖値を維持するのに大量のインスリンが必要になることが原因です。

MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/12-%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%81%A8%E4%BB%A3%E8%AC%9D%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E7%B3%96%E5%B0%BF%E7%97%85%E3%81%A8%E7%B3%96%E4%BB%A3%E8%AC%9D%E7%95%B0%E5%B8%B8/%E7%B3%96%E5%B0%BF%E7%97%85?query=%E7%B3%96%E5%B0%BF%E7%97%85

2.糖尿病の疫学

2014年には、18歳以上の成人の8.5%が糖尿病を患っていました。2016年には、糖尿病が160万人の死亡の直接の原因であり、2012年には、高血糖がさらに220万人の死亡の原因でした。
2000年から2016年の間に、糖尿病による早期死亡率が5%増加しました。高所得国では、糖尿病による早期死亡率は2000年から2010年に減少しましたが、2010年から2016年に増加しました。低中所得国では、糖尿病による早期死亡率が両方の期間にわたって増加しました。
対照的に、30歳から70歳までの4つの主要な非感染性疾患(心血管疾患、癌、慢性呼吸器疾患、または糖尿病)のいずれかで死亡する確率は、2000年から2016年の間に世界的に18%減少しました。

World Health Organization
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/diabetes

3.糖尿病の病態

1型、2型のいずれの型の糖尿病においても、代謝異常の程度は様々で、経過によって病態は変化します。以下の図1は、成因の分類と病態の関係を示すもので、インスリンの注射が必要な場合をインスリン依存状態、それ以外すべてをインスリン非依存状態と呼びます。

また、糖尿病は、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)によって、以下の通り分類されます。

①糖尿病型

早朝空腹時血糖値126mg/dl以上、75gOGTTで2時間以上200mg/dl以上、随時血糖値200mg/dl以上のいずれかの場合

②正常型

早朝空腹時血糖値110mg/dl未満かつ75gOGTTで2時間以上140mg/dl未満の場合

③境界型

糖尿病型にも正常型にも属さないもの

糖尿病の分類と診断基準
横浜市立大学医学部内分泌・糖尿病内科
pp.10-12 2006年1月10日
https://webview.isho.jp/journal/detail/pdf/10.11477/mf.1402100452?searched=1

4.糖尿病の原因

糖尿病を理解するには、まず、ブドウ糖が体内で通常どのように処理されるかを理解する必要があります。

インスリンのしくみ

インスリンは、胃の後ろと下にある腺(膵臓)に由来するホルモンです。

  • 膵臓はインスリンを血流に分泌します。
  • インスリンが循環し、糖が細胞に入るのを可能にします。
  • インスリンは血流中の糖の量を減らします。
  • 血糖値が下がると、膵臓からのインスリンの分泌も下がります。

ブドウ糖の役割

ブドウ糖—砂糖—は、筋肉やその他の組織を構成する細胞のエネルギー源です。

ブドウ糖は2つの主要な源から来ます:食物とあなたの肝臓。
砂糖は血流に吸収され、インスリンの助けを借りて細胞に入ります。
あなたの肝臓はブドウ糖を貯蔵して作ります。
しばらく食べていないときなど、ブドウ糖のレベルが低いとき、肝臓は貯蔵されたグリコーゲンをブドウ糖に分解して、ブドウ糖のレベルを正常範囲内に保ちます。

1型糖尿病の原因

1型糖尿病の正確な原因は不明です。知られていることは、通常は有害なバクテリアやウイルスと戦う免疫システムが、膵臓のインスリン産生細胞を攻撃して破壊するということです。これにより、インスリンがほとんどまたはまったくなくなります。糖は細胞に運ばれる代わりに、血流に蓄積されます。

タイプ1は、遺伝的感受性と環境要因の組み合わせによって引き起こされると考えられていますが、これらの要因が正確に何であるかはまだ不明です。体重は1型糖尿病の要因であるとは考えられていません。

前糖尿病と2型糖尿病の原因

2型糖尿病につながる可能性のある前糖尿病と2型糖尿病では、細胞がインスリンの作用に抵抗性になり、膵臓はこの抵抗性を克服するのに十分なインスリンを作ることができません。エネルギーが必要な細胞に移動する代わりに、糖は血流に蓄積します。

遺伝的および環境的要因が2型糖尿病の発症にも関与していると考えられていますが、これが発生する正確な理由は不明です。太りすぎは2型糖尿病の発症と強く関連していますが、2型糖尿病のすべての人が太りすぎであるとは限りません。

mayo clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/diabetes/symptoms-causes/syc-20371444

5.糖尿病の症状

糖尿病の症状は、血糖値がどれだけ上昇しているかによって異なります。一部の人々、特に前糖尿病または2型糖尿病の人々は、最初は症状がないかもしれません。1型糖尿病では、症状がすぐに現れ、より重篤になる傾向があります。

1型および2型糖尿病の兆候と症状は次の通りです。

  • 喉の渇きが増える
  • 頻尿
  • 極端な空腹
  • 原因不明の体重減少
  • 尿中のケトンの存在(ケトンは、利用可能なインスリンが十分にない場合に発生する筋肉と脂肪の分解の副産物です)
  • 倦怠感
  • 過敏性
  • 視界がぼやける
  • 歯茎や皮膚の感染症、膣の感染症などの頻繁な感染症

mayo clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/diabetes/symptoms-causes/syc-20371444

6.糖尿病の合併症

糖尿病は血管を傷つけるため、血管が狭くなり、血液の流れが妨げられます。全身の血管が影響を受けるため、様々な糖尿病の合併症がみられます。糖尿病が長ければ長いほど、そして血糖値のコントロールが弱くなるほど、合併症のリスクが高くなります。多くの臓器が影響を受けますが、特に影響を受けやすいのは以下の臓器です。

  • 脳(脳卒中、アルツハイマー型認知症、うつ病)
  • 眼(糖尿病網膜症による失明)
  • 心臓(心臓発作、狭心症、動脈狭窄)
  • 腎臓(糖尿病性腎症による慢性腎臓病)
  • 神経(糖尿病性神経障害による足の感覚低下)

糖尿病の人は特に細菌や真菌に感染しやすくなります。

MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/12-%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%81%A8%E4%BB%A3%E8%AC%9D%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E7%B3%96%E5%B0%BF%E7%97%85%E3%81%A8%E7%B3%96%E4%BB%A3%E8%AC%9D%E7%95%B0%E5%B8%B8/%E7%B3%96%E5%B0%BF%E7%97%85?query=%E7%B3%96%E5%B0%BF%E7%97%85

7.糖尿病の診断

診断方法には、以下のものがあげられます。

糖化ヘモグロビン(A1C)検査

絶食を必要としないこの血液検査は、過去2〜3か月間の平均血糖値を示します。赤血球中の酸素運搬タンパク質であるヘモグロビンに付着した血糖値のパーセンテージを測定します。血糖値が高いほど、糖分が付着したヘモグロビンが多くなります。2つの別々のテストで6.5パーセント以上のA1Cレベルは、糖尿病にかかっていることを示します。5.7〜6.4パーセントのA1Cは、前糖尿病を示します。5.7未満は正常と見なされます。

A1Cテストの結果に一貫性がない場合、テストが利用できない場合、またはA1Cテストを不正確にする可能性のある特定の条件がある場合は以下の方法が用いられます。

ランダム血糖テスト

血液サンプルはランダムな時間に採取されます。最後に食事をした時期に関係なく、200ミリグラム/デシリットル(mg / dL)— 11.1ミリモル/リットル(mmol / L)—以上のランダムな血糖値は糖尿病を示唆しています。

空腹時血糖値テスト

一晩絶食した後、血液サンプルを採取します。100 mg / dL(5.6 mmol / L)未満の空腹時血糖値は正常です。100〜125 mg / dL(5.6〜6.9 mmol / L)の空腹時血糖値は前糖尿病と見なされます。2つの別々のテストで126mg / dL(7 mmol / L)以上の場合、糖尿病です。

経口ブドウ糖負荷試験

このテストでは、一晩絶食し、空腹時血糖値を測定します。次に、甘い液体を飲み、血糖値が次の2時間定期的にテストされます。140 mg / dL(7.8 mmol / L)未満の血糖値は正常です。2時間後に200mg / dL(11.1 mmol / L)を超える読み取り値は、糖尿病を示します。140〜199 mg / dL(7.8 mmol / L〜11.0 mmol / L)の読み取り値は、前糖尿病を示します。

mayo clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/diabetes/symptoms-causes/syc-20371444

8.糖尿病の予防

1型糖尿病

1型糖尿病の発症を予防するための治療はありません。初期の1型糖尿病においては、一部の薬剤によって寛解が得られる場合がありますが、これは、免疫系による膵臓の細胞の破壊が妨げられることによると考えられます。しかし、このような薬剤には副作用があり、使用が制限されます。

2型糖尿病

2型糖尿病は生活習慣を変えることによって予防することが可能です。過体重の人が体重を7%ほど減らして運動量を増やせば(例、1日30分歩く)、糖尿病のリスクは50%以上低下します。糖尿病の治療に用いられる薬剤であるメトホルミンおよびアカルボースによって、耐糖能障害を有する人の糖尿病のリスクが低下する可能性があります。

MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/12-%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%81%A8%E4%BB%A3%E8%AC%9D%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E7%B3%96%E5%B0%BF%E7%97%85%E3%81%A8%E7%B3%96%E4%BB%A3%E8%AC%9D%E7%95%B0%E5%B8%B8/%E7%B3%96%E5%B0%BF%E7%97%85?query=%E7%B3%96%E5%B0%BF%E7%97%85

9.罹患した著名人
  • 夏目漱石(作家)
  • アントニオ猪木(プロレスラー)
  • エジソン(発明家):諸説あり
  • 小倉智昭(キャスター)
  • 織田信長(戦国武将):諸説あり
  • セザンヌ(フランスの画家)
  • バッハ(ドイツの作曲家)

糖尿病教室
https://www.furano.ne.jp/utsumi/dm/friend3.html

目次

一般的な治療法(保険診療)

一般に、以下の方法で治療は行われます。

  • 食事療法
  • 運動療法
  • 体重減少
  • 教育
  • 1型糖尿病に対し、インスリン注射
  • 2型糖尿病に対し、しばしば経口薬、ときにインスリンまたは他の薬の注射

食事療法や運動療法、教育は治療の基本で、軽度の糖尿病の人に対して一番初めに勧めらます。体重過多の場合は、減量も重要です。生活習慣の変化にもかかわらず高血糖が続く場合や、血糖値が非常に高い場合、1型糖尿病の場合には薬も必要です。糖尿病になっても血糖値をコントロールしていれば、合併症が生じる可能性は低くなるため、血糖値をできるだけ正常値に近づけることを目標とします。

MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/12-%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%81%A8%E4%BB%A3%E8%AC%9D%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E7%B3%96%E5%B0%BF%E7%97%85%E3%81%A8%E7%B3%96%E4%BB%A3%E8%AC%9D%E7%95%B0%E5%B8%B8/%E7%B3%96%E5%B0%BF%E7%97%85?query=%E7%B3%96%E5%B0%BF%E7%97%85

当院の治療内容

当院では、骨髄幹細胞と造血幹細胞を使った糖尿病の治療を行っています。幹細胞による治療は、自身の骨髄から骨髄幹細胞や造血幹細胞を採取し、再び自身の体内に静脈投与する方法です。幹細胞の採取は入院する事もなく、当日行うことが可能です。
また、当院では医師が患者さんのお宅へ出向く在宅診療も行っています。どのような患者さんにも、対応できるのが、当院の強みです。

効果の出る、理論

幹細胞によって治療するのは具体的に3つの効果があります。

  1. パラクリン効果:幹細胞によって放出されるサイトカインという炎症反応で放出される物質によって、傷ついた細胞を治します。
  2. 免疫調節効果:幹細胞は免疫系の細胞になることが出来、炎症反応を抑えます。これらの効果に加え、幹細胞は傷つき正常な機能が出来なくなった細胞に取って代わることが出来ます。
  3. 血流改善による代謝の向上:骨髄幹細胞の投与により代謝が改善し、脳の血流も改善します。骨髄幹細胞は、脳の血流を再び通す作用もある事が分かります。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6204871/https://www.longdom.org/open-access/pet--ct-scan-shows-decreased-severity-of-autism-after-autologous-cellulartherapy-a-case-report-2165-7890-1000169.pdf

幹細胞が糖尿病治療に有効な理論

糖尿病は、膵臓のランゲルハンス島にあるインスリンを分泌するβ細胞が、損傷を受けてインスリンを産生できなくなる病気です。Ⅱ型糖尿病ではインスリン抵抗性と呼ばれる状態に陥ります。インスリン抵抗性とは、膵臓からインスリンが血中に分泌されているのにも関わらず、標的の臓器のインスリンの感受性が低下し、その取り込む作用が鈍くなってしまっている状態です。Ⅰ型糖尿病は、完全にインスリンを感受する機能が壊れているのに対して、Ⅱ型糖尿病は感受性が低下するインスリン抵抗性を示すのが特徴です。そのため、損傷した膵臓のβ細胞に幹細胞を注入することで、インスリンの産生が出来るような細胞に取って代わり、再生するというメカニズムです。

また、幹細胞は筋肉などの細胞のインスリン感受性を高めて、2型糖尿病も改善することがわかっています。

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fcell.2020.00016/full

e-ヘルスネット 厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-012.html#:~:text=%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%B3%E6%8A%B5%E6%8A%97%E6%80%A7%E3%81%A8%E3%81%AF,%E3%82%92%E6%84%8F%E5%91%B3%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

 

効果のエビデンス、研究、論文紹介

幹細胞は自分の細胞由来で、様々な細胞になることが出来ます。そのため、幹細胞治療は変化してしまった神経細胞を正常な細胞に置き換えることが出来、炎症反応も抑制する事から、根本的に病気を治療する手段と言えます。また、静脈内投与である為、比較的簡易に行うことも出来、画期的な治療方法です。

糖尿病の幹細胞治療

Ⅰ型糖尿病の幹細胞治療

1.Ⅰ型糖尿病とは、どのようなものか

1型糖尿病は、ランゲルハンス島の膵島内のインスリン分泌β細胞が永久的に破壊されることを特徴としています。患者は通常、β細胞の80%以上を失い、その結果、インスリン産生が出来なくなり、血漿グルコースレベルを適切に調節できなくなります。1型糖尿病に見られるβ細胞の破壊は、ほとんどの場合、自己免疫メカニズムによって引き起こされます。

2.Ⅰ型糖尿病は、骨髄由来幹細胞の投与で治すことが可能

Ⅰ型糖尿病は膵臓のβ細胞が半永久的に機能が損失するため、失われたβ細胞を焦点に当てた細胞ベースの治療が可能です。骨髄幹細胞は、Ⅰ型糖尿病において、損傷しインスリンを産生する事が出来なくなった膵臓細胞を骨髄幹細胞で取って代わることで、インスリンを再び産生できるようにし、Ⅰ型糖尿病を治療することが出来ます。
14人の男女から採取した骨髄幹細胞を、Ⅰ型糖尿病のマウスに注入し、その機能を改善する事を確認した実験を紹介します。14人のうち9人の骨髄幹細胞が、機能不全となった膵臓のβ細胞を再生することが可能で、Ⅰ型糖尿病マウスの血糖値を改善する事が出来ました。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/j.1464-5491.2011.03433.x?saml_referrerhttps://stemcellsjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1634/stemcells.2007-0164

1.Ⅱ型糖尿病とは、どのようなものか

Ⅱ型糖尿病は、生活習慣病で最も多い代謝異常の病気です。糖尿病にはどのようなものがあるのでしょう。糖尿病は二種類存在し、Ⅰ型とⅡ型があります。Ⅰ型は先天性であり、生活習慣病として称される糖尿病はⅡ型を示します。Ⅱ型糖尿病は、遺伝や環境要因の融合により膵臓にあるβ細胞がインスリン標識組織におけるインスリン抵抗性が増加する事で正常にインスリンが分泌されなくなることで起こる病気です。

2.Ⅱ型糖尿病は、骨髄由来幹細胞の投与で治すことが可能

実は、Ⅱ型糖尿病はBM-MSC(骨髄由来幹細胞)を静脈に注射することで治すことが出来るのです。ここで、実際にⅡ型糖尿病に対し、自家骨髄由来単核細胞(ABM-MNC)(自家=自己組織由来という意味)を移植し、インスリン必要量、及び体重、HbA1c(ヘモグロビン値)、Cペプチドおよびインスリン感受性を含む代謝指数の変化を調べた研究を紹介します。少々複雑になりますが、お付き合いください。

対象はⅡ型糖尿病の病気の期間が5年以上でインスリンと経口で糖尿病薬を使っており、HbA1c値が7.5%以下の患者7人に対し行われました。実験結果は投与開始から6か月間、毎月追跡されました。

結果、幹細胞の投与開始から6か月で7人中6人の患者がインスリン必要量を51%減少させることが出来ました。また、Cペプチドの応答の増加とインスリン感受性が大きく向上しました。以上の結果から、BM-MSC(骨髄由来幹細胞)を静脈注射によりⅡ型糖尿病を改善することが出来ることが証明されました。

Primary end point achieved:主要エンドポイント達成したもの
Weight:体重
Insulin requirement:インスリン必要量
HbA1c:ヘモグロビン値

ベースライン(最初)と比較して、6か月後、体重およびBMI、インスリン必要量が減少しているのが分かります。患者はHba1c値を53%以下に維持し、インスリン必要量を減少させました。インスリンは膵臓にあるランゲルハンス島B細胞という細胞から分泌されるホルモンで、食後に血中のグルコース濃度(血糖値)が上昇すると、血糖値を下げるために働きます。インスリンが分泌されないと血糖値が下がらないままになり、高血糖となり糖尿病につながります。
幹細胞の投与により体重およびBMIが減少したことで、幹細胞投与はダイエット効果もあると言えます。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5496640/
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fcell.2020.00016/full

糖尿病合併症

①糖尿病性網膜症における成人幹細胞治療

1.糖尿病性網膜症(DR)は、成人における失明の主な原因

糖尿病は悪化すると合併症を引き起こすことは、ご存知ですか。糖尿病性網膜症(DR)は、糖尿病合併症で起こります。合併症を放置すると失明することがあります。実は、糖尿病性網膜症(DR)は、成人における失明の主な原因の一つなのです。しかし、幹細胞によって糖尿病は治せると言われています。近年、脂肪組織と骨髄に由来する間葉系幹細胞(MSC)は糖尿病性網膜症(DR)の新しい治療法として検討されています。糖尿病性網膜症(DR)は、網膜の光に敏感な組織の血管に損傷を引き起こす糖尿病の合併症のことです。糖尿病性網膜症(DR)は、非増殖性DR(NPDR)と増殖性DR(PDR)の2つの段階に分類されます。治療は糖尿病性網膜症(DR)の後期に利用できますが、現在初期段階で患者さんに提供できる唯一の治療戦略は、危険因子である血糖値と血圧を管理することのみです。悪化してからでは間に合いません。根本的に糖尿病を治療してみたいと思いませんか。

2.骨髄由来間葉系幹細胞(BM-MSC)での治療とは

糖尿病に対する治療が行われている幹細胞には多くの種類が存在します。現在、糖尿病性網膜症(DR)における再生医療の取り組みとして、骨髄間葉系幹細胞(BM-MSC)、脂肪幹細胞(ASC)、人工多能性幹細胞(iPSC)など、さまざまな幹細胞が検討されています。脂肪幹細胞(ASC)と骨髄由来間葉系幹細胞(BM-MSC)は聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。脂肪幹細胞(ASC)と骨髄由来間葉系幹細胞(BM-MSC)は、網膜の再生と回復に有望であるとされている間葉系幹細胞(MSC)の一種です。骨髄由来間葉系幹細胞(BM-MSC)、特にヒトCD34 +細胞の使用は、ヒトの網膜血管疾患の治療に有用であると言われている治療法です。幹細胞はとても万能で、あらゆる細胞になることが出来ます。硝子体内に注入された骨髄由来間葉系幹細胞(BM-MSC)は網膜の内側に注入され、網膜内皮細胞に分化し、糖尿病性網膜症(DR)など虚血性血管損傷を改善することで視力を回復することが報告されています。つまり、幹細胞が網膜の損傷した細胞に取って代わり、正常細胞になることが出来るのです。今までにない根本的な治療であると思いませんか。

また、網膜虚血再灌流障害を持つラットにヒトCD34+細胞のみを注入した群とヒトCD34+細胞だけでなく骨髄由来間葉系幹細胞(BM-MSC)も注入した群では網膜血管系への定着率が約2倍に増加しました。つまり、骨髄由来間葉系幹細胞(BM-MSC)は同時注入でヒトCD34+細胞の定着率を高めることが報告されています。幹細胞は自身があらゆる細胞になれるだけでなく、他の細胞の定着率を上げることも出来るのです。まさに万能細胞ですね。

A~C:ヒトCD34+細胞のみ注入した群
D~F:ヒトCD34+細胞と間葉系幹細胞(MSC)も注入した群

3.糖尿病性網膜症(DR)に対する幹細胞治療結果

以下、実験結果です。網膜虚血再灌流障害ラットに、再灌流の7日目にASC(脂肪由来幹細胞)を注入し、その治療能力を評価しました。(図A)緑色と黄色は経口タンパク質です。緑色より黄色の方が色がはっきりし、不明瞭な部位が少ないと思いませんか。また、網膜虚血再灌流障害におけるB波の振幅(光への感度)を調べました(図B)ここでは、CD140b+(CD分類はヒト白血球を主としたさまざまな細胞表面に存在する分子(表面抗原)に結合するモノクローナル抗体のこと)かつ(脂肪由来幹細胞)注入群で上昇していることから、CD140bによって視覚機能が改善したことが分かりました。幹細胞は特定の条件下において効果を発揮することが出来るのです。

A: CD140b-ASC(左)およびCD140b + ASC(右)
網膜虚血再灌流障害ラットに、再灌流の7日目にASC(脂肪由来幹細胞)を注入し、その治療能力を評価した。
B:網膜虚血再灌流障害におけるB波の振幅(光への感度)を示している。
CD140b + ASCは、CD140b- ASCよりも視覚機能を改善したことが分かる

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6801872/
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3638665/
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5068793/

②糖尿病性足病変における幹細胞治療

1.糖尿病合併症の一つである糖尿病性足部潰瘍(DFU)とは

糖尿病は悪化すると合併症を引き起こすことは、ご存知ですか。糖尿病性足部潰瘍(DFU)は糖尿病による重篤な合併症の一つで、糖尿病による足部切断の前に引き起こされます。この潰瘍が悪化すると足部の切断につながります。厳密には、糖尿病性足部潰瘍(DFU)は、糖尿病患者の足首以下に起こる外傷と定義されています。糖尿病合併症による足の切断は30秒に一度起こるとされ、その84%が糖尿病性足部潰瘍(DFU)によって起こると言われています。つまり、糖尿病による合併症で足部切断になるケースは少なくないのです。そこで、幹細胞治療をご紹介します。近年、幹細胞治療は糖尿病性足部潰瘍(DFU)の新しい治療法となっています。幹細胞は様々な細胞になる事が出来るため、傷の治癒に関係する細胞になり、免疫調節や血管新生(既存の血管から伸長して新しい血管を形成すること)、神経の再生など傷の治癒の過程を促進することが可能になります。つまり、幹細胞は糖尿病の合併症を治すことが出来るのです。次に、幹細胞治療で実際に糖尿病が改善した報告をご紹介いたします。

2.幹細胞治療で7回以内の静脈投与で糖尿病が寛解した事を報告する論文を紹介

ここで、幹細胞治療で7回以内の静脈投与で糖尿病が寛解した事を報告する論文を紹介します。長くなりますが、お付き合いください。2017年にデータベースを用いて256の記事をスクリーニングし糖尿病性足部潰瘍(DFU)の幹細胞療法を説明する記事を検証しました。256の記事の内、二次スクリーニングを行い、最終的に89件の主要な研究論文を調査しました。これらの研究で使用された半数以上が骨髄由来間葉系幹細胞(BM-MSC)を用い、末梢血由来間葉系幹細胞(PB-MSC)は3割程度、脂肪由来幹細胞(ADSC)や臍帯由来間葉系幹細胞(hUC-MSC)はそれぞれ臨床試験では1割程度用いられました。これらの幹細胞は臨床試験による局所投与では筋肉内注射が最も多く、皮下注射、皮内注射など注射による投与は86%の研究で行われました。局所投与は低リスクで低価格というメリットがあります。局所投与においては少なくとも1×10^6個の細胞が投与された場合、傷の治りに有意差がありました。全身投与においては、局所投与より定着率は高くなりました。全身投与ではMSC(間葉系幹細胞)の複数回に渡る静脈内投与はグルコース(糖)の恒常性にプラスの影響を与え、2回の投与後徐々に血糖値を低下させ、7回以内の投与で糖尿病を完全寛解させる事が出来ました。つまり、幹細胞の静脈投与で糖尿病を改善することが出来るのです。

https://www.mdpi.com/1010-660X/55/11/714/htm
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6042254/

一般的な治療と比較したメリット

インスリンの自分での注射は、一時的な効果にしかすぎず、対症療法と言えます。糖尿病の進行を遅らせることしかできないのが現状です。対して幹細胞による治療は、膵臓の再生、糖尿病を根本的に治すことが可能です。また、幹細胞治療は静脈内投与である為、比較的簡易に行うことも出来、画期的な治療方法と言えるでしょう。


治療の流れ

当院での治療の流れを説明します。大まかな流れとして、まず患者さんの骨髄を採取して、静脈に点滴で幹細胞を移植します。1回治療を行い、3か月後に治療効果を判定し、次回以降の治療を決定します。患者さんの病気の状況次第で臨機応変に対応いたします。

臨床的な期待できる効果

論文では、以下の通りの効果が実証されています

  • HbA1c(血糖値)の値が正常になりました
  • インスリンを投与しなくてもよくなりました
  • 体重やBMIが減少しダイエット効果があります
  • 合併症を防ぐことが出来ます
  • インスリンの感受性が改善されました

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5496640/
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fcell.2020.00016/full

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME