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慢性疼痛に対する幹細胞治療

慢性疼痛とは、3カ月間を超えて持続もしくは再発する、または急性組織損傷の回復後1カ月を超えて持続する治癒に至らない病変に随伴する疼痛のことです。

1.慢性疼痛の種類

慢性疼痛は、疼痛の病態機序により、神経障害性疼痛と機能的疾患による疼痛に分類する事が出来ます。以下の表のように分類します。

日本神経治療学会 標準的神経治療:慢性疼痛
https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/mansei.pdf

2.慢性疼痛の疫学

我が国の慢性疼痛の有病率は、全成人の22.5%、推計患者数は2315万人と報告されています。痛みの訴え部位は腰痛が大半(58.6%)を占め、次いで肩:38.7%、下肢部:37.9%と続き、筋骨格系=運動器に引き起こされることが多いです。その年齢分布を見ると高齢者よりも30~50代の訴えが多いことが分かります。

https://pmc.carenet.com/?pmid=21678085

慢性の痛み解明研究事業 国立研究開発法人日本研究開発機構
https://www.amed.go.jp/content/000004219.pdf

3.慢性疼痛の病態

慢性疼痛の発端は、外傷などによる急性の疼痛である事が多いです。慢性疼痛となっても末梢組織に引き起こされた病態は、必ず最終的に脳で経験する痛みに関与します。原因として持続的な慢性的な痛みが脳の機能を抑制したり、持続的に痛みが伝わりやすくなっている状態に陥ることが挙げられます。

日本神経治療学会 標準的神経治療:慢性疼痛
https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/mansei.pdf

4.慢性疼痛の原因

慢性的な痛みは、さまざまな要因によって引き起こされる可能性があります。単一の要因、またはこれらの要因が組み合わさって起こります。起こり得る原因は以下の通りです。

  • 長年の悪い姿勢
  • 重い物の持ち上げと運搬
  • 太りすぎ
  • 脊椎の湾曲などの先天性疾患
  • 外傷性傷害
  • ハイヒールを履く
  • 薄いマットレスで寝る

明らかな物理的原因はありません。脊椎の老化(変性変化)も考えられます。

webmd
https://www.webmd.com/pain-management/guide/cause-chronic-pain

5.慢性疼痛の症状

慢性疼痛は、時間の経過とともに、身体の健康、感情、さらには社会生活にも影響を及ぼします。痛みは、次のような他の症状を引き起こす可能性があります。

  • 不安
  • うつ病
  • 睡眠障害
  • 慢性的な疲れ
  • 過敏性
  • 罪悪感
  • 薬物またはアルコールの乱用
  • 結婚や家族の問題
  • 失業
  • 自殺の考え

慢性疼痛のある人は、痛みを管理するためにますます多くの薬を服用する必要があり、それがこれらの薬に依存するようになる可能性があります。

webmd
https://www.webmd.com/pain-management/chronic-pain-syndrome-overview#1

6.慢性疼痛の診断

慢性疼痛の診断には、疼痛の原因や病態を明らかにすることが重要です。診断には、詳細な問診と診察、適切な検査によって侵害性疼痛、神経障害性疼痛、心因性疼痛が診断されます。疼痛の問診では、疼痛のきっかけとなった事象(疾病、事故など)の確認や疼痛の部位を確認することが必要です。以下が診断のポイントとなります。

日本神経治療学会 標準的神経治療:慢性疼痛
https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/mansei.pdf

7.慢性疼痛の予防

予防は、疼痛管理プロセスの重要な部分です。引き金を避け、健康的なライフスタイルを維持し、姿勢に優しい機器を使用することは、主な疼痛管理予防のほんの一部です。慢性的な痛みを防ぐためにできることをもう少し見てみましょう。

  • ストレスを減らす
  • 十分な睡眠をとる
  • 姿勢をよくする
  • 健康状態を維持する

Apex medical center
https://www.apexmedicalcenter.com/blog/chronic-pain-prevention

8.慢性疼痛に罹患した著名人
  • レディー・ガガ(線維筋痛症)
  • 八木亜希子(線維筋痛症)

目次

慢性疼痛の一般的な治療法(保険診療)

慢性疼痛の内科的治療においては、一般的に経口薬剤を使用する事が多くあります。慢性疼痛の発症機序と診断を理解したうえで適切な治療を選択する必要があります。慢性疼痛の治療方針は、リハビリを含めた内科的・心療内科的治療から始め、それらに抵抗性がある場合ペインクリニックなどで侵襲的な治療を行い、その先に脳外科・整形外科での外科的治療をするという方針が基本です。以下、日本未認可の薬剤を含む第一選択薬です。実際に日本で使用できる薬剤は非常に少ないのが分かります。

日本神経治療学会 標準的神経治療:慢性疼痛
https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/mansei.pdf

慢性疼痛における当院の独自の治療内容

当院では、骨髄幹細胞と造血幹細胞を使った慢性疼痛の治療を行っています。幹細胞による治療は、自身の骨髄から骨髄幹細胞や造血幹細胞を採取し、再び自身の体内に静脈投与する方法です。幹細胞の採取は入院する事もなく、当日行うことが可能です。
また、当院では医師が患者さんのお宅へ出向く在宅診療も行っています。どのような患者さんにも対応できるのが、当院の強みです。

ここで、骨髄幹細胞を取る際の方法として、骨髄穿刺と脊髄穿刺を混同している患者さんが多く見受けられます。

骨髄穿刺と脊髄穿刺の違いについて、こちらをご覧ください

慢性疼痛の効果の出る理論

幹細胞は、組織修復において二重の役割を果たしているという認識が高まっています。まず、幹細胞には特定の細胞タイプに分化する能力があります。間葉系幹細胞は、複数の経路を介して治癒反応を引き起こします。直接的な分化、栄養の媒介、および破壊的な酵素阻害は、前臨床および臨床研究で治癒を増強することが示されています。
もう一つは、免疫調節によるものです。幹細胞はT細胞の増殖を直接阻害し、細胞周期を停止させます。これにより抗炎症状態に移行させることが報告されています。また、免疫調節によりナチュラルキラー細胞(自然免疫の主要因子として働く細胞傷害性リンパ球の1種であり、特に腫瘍細胞やウイルス感染細胞の拒絶に重要である)に作用するため、組織修復の環境が自己免疫調節の影響を受けにくくなります。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1016/j.pmrj.2013.05.007?saml_referrer=

慢性疼痛における幹細胞治療の効果のエビデンス、研究、論文紹介

慢性疼痛は、骨髄幹細胞の注入によって治療が可能であると言われています。一般に慢性疼痛は痛覚(痛みを感じる部分)が過敏になっていることから起こります。骨髄幹細胞を注入することで組織や神経が損傷した部分の長期的な痛みを緩和することが分かっています。

MSC:骨髄幹細胞注入グループ
Medium:コントロールグループ

グラフから分かるように、骨髄幹細胞の注入は、ラットの眼窩下神経の慢性狭窄損傷(CCI)後の疼痛過敏症(慢性疼痛)を緩和させました。注入後すぐに効果が出ているのが分かります。以上のことから、骨髄幹細胞の注入は、慢性疼痛を治す画期的な治療法である事が理解できます。


慢性疼痛は、スポーツ選手にとって切り離せない怪我の1つです。ここで、右膝の痛みに苦しむ31歳の男性柔道選手に骨髄幹細胞を投与した症例を紹介いたします。体重の負荷により右膝の関節軟骨が欠損し、慢性的な痛みが生じていました。そこに骨髄幹細胞を投与し、7ヶ月で痛みが緩和されました。また、投与から一年後、痛みの症状は大きく改善し、患者は以前と同じように活動できる程改善しました。


A:幹細胞投与前
B:幹細胞投与後7ヶ月
投与後、関節軟骨が欠損した右膝は滑らかな組織で覆われたのが確認できます。この様にして、骨髄幹細胞は慢性疼痛を引き起こすきっかけとなる関節軟骨の欠損を修復する事を可能にするのです。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1063458406002469

慢性疼痛における幹細胞治療の一般的な治療と比較したメリット

一般に、現在行われている治療は行動療法と薬物療法の併用です。これらは対症療法であり、慢性疼痛を根本的に治す治療ではありません。対して、幹細胞治療は変化してしまった神経細胞を正常な細胞に置き換えることが出来、炎症反応も抑制する事から、根本的に病気を治療する手段と言えます。また、静脈内投与である為、比較的簡易に行うことも出来、画期的な治療方法と言えるでしょう。

慢性疼痛における幹細胞治療の治療の流れ

当院での治療の流れを説明します。大まかな流れとして、まず患者さんの骨髄を採取して、静脈に点滴で幹細胞を移植します。1回治療を行い、3か月後に治療効果を判定し、次回以降の治療を決定します。患者さんの病気の状況次第で臨機応変に対応いたします

慢性疼痛における幹細胞治療の臨床的な期待できる効果

論文では、以下の通りの効果が実証されています。慢性疼痛を持つマウスに、骨髄幹細胞を静脈内注入し、注射後3週間から5ヶ月間観察した結果です。結果は主に4か月後に観測されました。

  • 痛みが早期に軽減しました
  • 痛みの過敏症が長期的に治りました
  • 痛みの原因となる炎症を抑える事が出来ました
  • 慢性疼痛が起こる以前と同じように生活できるようになりました

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3277433/

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