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自閉症(ASD)に対してのオキシトシン療法を開始しました

[2023.10.11]

自閉症(ASD)におけるオキシトシン療法

この度当院で幹細胞治療を行った方限定でフォローアップ療法としてオキシトシン療法を導入しました。なお、検討いただく際の注意点としては、オキシトシンのASDへの効果を否定する研究結果も存在しているということです。あくまでこのことをご理解いただいた上で、治療の検討をお願いいたします。なお、費用や治療詳細に関しては、当院での幹細胞治療の治療済みの方限定の治療となりますので、対象者以外の方からの問い合わせにはお答えできませんので、ご了承ください。

 

  • 自閉症におけるオキシトシン療法とは

 

オキシトシンとは、脳の下垂体後葉という場所から分泌されるホルモンで、多幸感を感じた時に体内に放出されます。オキシトシンが分泌されることで、自身の免疫も向上し、免役向上により自閉症における症状が改善すると言われています。

 

  • オキシトシン療法により自閉症が治療できるメカニズム

 

オキシトシンは女性において授乳時の乳汁分泌や子宮の収縮を促進する作用があります。またオキシトシンは愛情ホルモンとして知られており、人間関係における絆を深める愛着行動を取るのを促進します。自閉症の患者は、内側前頭前野という人の気持ちを理解したり共感したりするために重要な脳のはたらきが弱いため、他人の気持ちを理解するとき、声色や表情より、言葉の内容に影響されやすいという性質があります。そこで、そこで、オキシトシンを投与することで、そのはたらきが強まり、表情や声色を利用して、ほかの人の気持ちを理解できるようになるということが分かっています。

 

オキシトシンがどの様な機序で自閉症を治療するのか、現在提唱されている仮説を元に解説します。現段階では3つほど仮説が述べられています。

1つ目は、オキシトシンが一旦鼻腔内に投与されて、その粘膜から血液内に吸収され、そのオキシトシンがポジティブフィードバックを起こし、それにより中枢からもオキシトシンが分泌されて中枢作用を発揮していること。

2つ目は、鼻腔から投与したオキシトシンが嗅神経、または三叉神経の軸索経路を伝い中枢に入るということ。

3つ目は、オキシトシンがそのまま組織間隙から吸収されて侵入していき、中枢に入るということ。

これら3つの仮説は、これから様々な検証を元に解明されていくでしょう。

 

自閉スペクトラム症へのオキシトシン経鼻スプレー

https://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/useful/doctorsalon/upload_docs/200564-1-09.pdf

 

  • 自閉症に対するオキシトシン療法の実際の研究

 

オキシトシンによる自閉症の治療に対する研究は現在注目されています。ここで、最近東大で行われた研究を紹介いたします。

 

オキシトシンの効果を調べるため、自閉症患者を2つのグループに分けて比較対照をする実験を行いました。自閉症の被験者の2つのグループに対し、片方の自閉症のグループにはオキシトシンを、もう片方の自閉症のグループにはプラセボ(偽薬)を6週間毎日2回経鼻剤として投与しました。6週間後、オキシトシン投与群にはプラセボを投与し、プラセボ投与群にはオキシトシンを投与するように交換して投与する事を開始しました。結果のグラフは6週間後と12週間後の中立表情の有無を表しています。

 

表情の変化は、被験者との面接のやり取りによって、被験者の表情がどのように変化するかによって観察しました。自閉症の患者はそうでない人と比べて、会話中無表情になること(中立表情)が多いと一般的に言われています。

 

6週間後の結果より、オキシトシン投与を受けた被験者は、投与を受けていない人と比べて会話中笑顔になることが多く、無表情も緩和された事が分かりました。つまり、オキシトシンの投与は、自閉症の症状を緩和する事が証明されました。

しかしながら、6週間オキシトシンを投与した群に、6週間後から12週間後までプラセボ(偽薬)を投与すると、中立表情が戻ってしまっていることから、オキシトシンは連続して投与する必要があることも分かりました。








図はオキシトシンとプラセボ投与による、表情の変化を示しています。自閉症の特徴である会話時の中立表情(無表情であり、笑顔のない状態)の頻度を縦軸に、投与開始からその時間経過を横軸に示しています。6週間で赤と青のグラフが交換されているのが分かります。これはオキシトシン投与群とプラセボ投与群を6週間で交換して12週間まで投与していることを示しています。

 

国立研究開発法人 日本医療研究開発機構

https://www.amed.go.jp/news/release_20190517-01.html

自閉症に対する当院の治療はこちらからご覧いただけます

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