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厚生労働省から

[2023.07.15]

厚生労働省からの注意喚起として、他人由来の細胞加工物を使用する際の注意喚起が出されました。内容としては、他人のものはウイルスやプリオンを完全に排除することができないことに十分注意するように、ということです。このことはずっと前に私の書籍で同じことを注意喚起しました。所謂エクソソーム、とか幹細胞上清液と言われるものです。

患者さんの中にはわかっていない人も多いのですが、これらは「医薬品」ではありません。一般的には「研究用試薬」と言われるもので、少なくとも製造側は人の治療に使用する安全性を担保していないということになります。製造過程でどのような薬品を使用しているのか、誰も医薬品グレードとしてチェックしていない(もちろんあくまで研究用なので、チェックする必要がない)ということです。

では何で日本のクリニックで当然のように使われているのか?これは以前国会でも疑問視されています。エクソソーム、とか幹細胞上清液は少なくともアメリカ、イギリスでは使用は禁止されています。

私もこれらの「細胞加工物(エクソソームなど)」を作っている会社と会ったことがありますが、あくまで「お医者さんの責任で使用してくださいね、私たちは何も責任持てませんから」というスタンスなのです。もし使用する場合は、トラブル発生の際に製造者は免責になるという契約書を締結して、医療機関はこれらの商品を購入しています。日本では医師の裁量権で治療に使用することは違法ではありませんが、この場合、すべての責任は製造者ではなく、医師に発生してきます。

となると、これらの製造過程(薬品や感染症の除外の方法、そして製造環境の衛生基準など)をすべて使用者である医師は理解する必要があると私は思いましたので、そしてそれは製造者がすべてを開示していない中で現実は不可能であると思いましたので、私は治療には使用していません(一部全製造過程を理解している会社の商品のみ患者さんからの要望があれば副作用の説明の上使用することはあります)。そして、幹細胞治療に比較してエビデンスが圧倒的に少ないので、効果が期待できると患者さんに言うことが難しいです。周りの医者がやっているから、そんな単純な理由で責任ある医療を患者さんに提供はできません。

実際にこれらを使用した医療を提供している医師が、どれだけそれらの安全性を理解しているのかは率直に疑問に思っています。そして、それらのリスクを患者さんに実際に伝えて十分理解してもらった上でやっているのか。ここは非常に問題だと思います。まず、患者さんと話してみるとそのことをわかっている人はまず出会ったことがないのです。

再生医療と言っても、治療も内容も本当に様々です。受ける際は内容を十分理解して受けることをお勧めします。

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