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脳性麻痺、PVLの治療例の報告

[2022.08.17]

今回は喉頭軟化症を合併しているまだ首がすわっておらず、投薬中にもかかわらず1日10回くらいてんかん発作を合併している重症の脳性麻痺,PVLに対する骨髄幹細胞移植の治療効果をお知らせいたします。

まずは当院として、合併症を持っているお子様の治療に際して、非常に注意すべき点が多い治療となります。治療を安全に行うために当院が考慮したことを挙げていきます。

1、喉頭軟化症合併でいわゆる中枢性の脳性麻痺を合併している場合、鎮静薬で鎮静をかけていった場合、酸素飽和度が急激に下がってきてしまうことがあります。ですので、鎮静薬の投与スピードを非常に緩徐にする必要があります。また、呼吸機能、中枢神経を抑制しない特殊な麻酔薬をメインに用いることにより呼吸中枢の抑制をできるだけ抑えます。

2、容量負荷をできるだけ下げること。麻酔、および骨髄幹細胞移植の際には、ルートのメインに生理食塩水、もしくはそれに準じるものを投与をする必要があるのですが、これは多すぎると肺にたまりやすく、呼吸を抑制していきます。ですので、この容量負荷を治療に支障がない範囲で抑えていく必要があります。

さてそれを踏まえた上で治療を行い、治療後麻酔からの回復時間は他のケースよりかかったものの、無事に終わりました。

さて今回親御さんからお聞きした治療効果ですが、

1、幹細胞移植後2~3週でてんかんの発作がなくなった

2、笑顔(表情)が増えた

3、首、手足を動かす回数が増えた

4、抱っこがしやすくなった。(体幹の筋力、調和運動の改善による)

実際にこれらの改善が得られ、当院としても嬉しいですし、安心いたしました。

なお、てんかん発作の減少、改善は、多くのケースで認められており、これは大きな治療効果と考えます。今までの医学ではてんかん根治というのは難しく、もしくは非常にリスクの高い手術を行う必要があり、またてんかん薬を長期に服薬することは脳には良い作用は及ぼしません。なお脳性麻痺ではなく、自閉症でてんかんの合併がある方も多いですが、こちらにも治療効果を期待できます。てんかん発作がなくなれば、ご両親にとっても負担が大きく減るはずです。

笑顔が増えたというのは、本当に治療されたみなさんおっしゃいますが、これはおそらく高ぶっていた神経、神経の炎症が治まってくれたためと考えられます。

治療した全ての方に劇的な治療効果が出るものでは決してありませんが、以上のように、骨髄幹細胞移植治療というものは多くの可能性を秘めた治療であります。一度も実際の臨床で骨髄幹細胞移植治療を行ったことがないにも関わらず色々な意見を言う医師、自称専門家もいるようです。これは新しい治療では必ず起こることです。今での当たり前になっている多くの治療も登場した時は同じ道を歩んできています。

皆様には是非ゼロベースで、治療の原理、理論をご理解いただき、末節のこと、感情、思い込みではなく、エビデンスおよび思い込みによらない医学をもとに治療を検討されて頂ければと思います。

 

 

 

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