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アルツハイマーに対する幹細胞治療

1.認知症の種類

アルツハイマー型認知症は、認知症の1つです。認知症とは、さまざまな原因で脳の神経細胞が破壊・減少し、日常生活が正常に送れない状態になることです。認知症には多くの種類があり、脳にあるアミロイドβやタウタンパク質が蓄積されることで起こる「アルツハイマー型認知症」は中でも最も患者数が多く、他には脳梗塞や脳出血、くも膜下出血をきっかけに発症する「脳血管性認知症」、神経細胞にできるレビー小体が脳に蓄積することで発症する「レビー小体型認知症」などがあります。認知症は一般的に高齢者が発症することが多いですが、30代の若い人が発症することもあります。

認知症の割合は、アルツハイマー型認知症が7割弱と最も多い疾患です。次いで脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症と続きます。

認知症の種類によって、攻撃を受ける脳の部位が変わります。まず、アルツハイマー型認知症の場合、空間把握を司る頭頂葉と、海馬のある側頭葉が障害されます。脳血管性認知症の場合、感情や情動を司る前頭葉が攻撃される為、うつ症状が出る事があります。レビー小体型認知症の場合、後頭葉にある視覚野が障害される為、幻覚や幻視の症状が現れます。前頭側頭型認知症では言語野が影響を受け、発語障害が生じます。

eヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-036.html

2.アルツハイマーの疫学

認知症罹患者は、我が国では現在200万人、世界では2400万人と推定されています。2020年には4000万人、2040年には8000万人が世界で罹患すると推測され、毎年460万人が新たに発症しています(7秒に1人の割合)。認知症の有病率や罹患率は加齢と共に著しく上昇します。加齢は認知症の最大のリスクファクターです。

年齢別認知症罹患率のグラフです。認知症の罹患率は加齢と共に著しく上昇します。脳血管性認知症(VD)に比べ、アルツハイマー病(AD)の罹患率は75~79歳を境に、急激に上昇します。

新潟大学脳研究所附属生命科学リソース研究センター
アルツハイマー病について
https://www.bri.niigata-u.ac.jp/~idenshi/research/ad_1.html#:~:text=1%EF%BC%89%E7%96%AB%E5%AD%A6%EF%BC%88%E6%9C%89%E7%97%85%E7%8E%87,%E3%81%AB%EF%BC%91%E4%BA%BA%E3%81%AE%E5%89%B2%E5%90%88%EF%BC%89%E3%80%82

3.アルツハイマーの病態

アルツハイマー型認知症とは、認知機能障害を中核症状とする不可逆的な神経変性疾患です。2005年、東海林らにより「一度発達した知的機能が、脳へのアミロイドベータ(Aβ)タンパクとタウ(tau)タンパクの蓄積にともなって緩徐進行性に障害される疾患である」と新たに定義されました。

アルツハイマーは、長年の間「アミロイドたんぱく」という物質が脳に増えていき脳細胞を破壊して発病します。アルツハイマー型認知症の場合、空間把握を司る頭頂葉と、海馬のある側頭葉が障害されます。そのため空間把握が出来なくなり迷子になったり、海馬という記憶を司る部位が障害されることで、食事をした記憶がなくなったりします。

新潟大学脳研究所附属生命科学リソース研究センター
アルツハイマー病について
https://www.bri.niigata-u.ac.jp/~idenshi/research/ad_2.html

4.アルツハイマーの原因

アルツハイマー病は、脳にアミロイドβ蛋白というタンパク質がたまり、さらにタウというタンパク質がたまって、神経細胞が減少し脳が萎縮していくことで起こります。アルツハイマー病の原因は分かっていませんが、遺伝的な要因が関与していて、約5~15%の症例で家族内での遺伝が認められます。いくつかの特定の遺伝子の異常が関与している可能性があります。両親の片方が異常遺伝子を保有しているだけで遺伝する異常もあり、このような異常遺伝子を優性と呼びます。この場合、発症した親から1人の子どもに異常遺伝子が受け継がれる可能性は50%です。子どもの約半数が、65歳以前にアルツハイマー病を発症します。アルツハイマーは軽度、中等度、高度と徐々に進んでいきます。

一般社団法人日本神経学会
https://www.neurology-jp.org/public/disease/alzheimer.html

MSDマニュアル
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/09-%E8%84%B3%E3%80%81%E8%84%8A%E9%AB%84%E3%80%81%E6%9C%AB%E6%A2%A2%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E3%81%9B%E3%82%93%E5%A6%84%E3%81%A8%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E7%97%87/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%84%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E7%97%85

5.アルツハイマーの症状

アルツハイマーの症状には、中核症状と周辺症状の二つが存在します。中核症状は認知症の中核をなすもので、記憶障害とそれ以外の認知機能障害です。
中核症状には以下のものがあります。

  • 記憶障害
  • 見当識障害
  • 理解、判断力の障害
  • 実行機能障害
  • 失語、失認識、失行

対して、周辺症状とは、中核症状に続発ないし併発する症状です。これは、種々の精神症状や行動上の障害として現れます。周辺症状は以下のものがあります。

  • 不安、抑うつ
  • 徘徊
  • 幻覚、錯覚
  • 妄想
  • 睡眠障害
  • 失禁
  • 暴言、暴力

アルツハイマー型認知症の診断と治療 第103回日本精神神経学学会総会
https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1100070577.pdf

6.アルツハイマーの予後

認知症は年のせいだけではなく、多くは数年から10年程度の経過で徐々に生活機能が低下していき、ついには死に至る疾患です。
認知症と言っても,病型によって進行スピードや生命予後は異なります。認知症は大きく分けてアルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症の4つがあります。一般的な傾向として,アルツハイマー型認知症は進行が緩徐で生命予後が良好とされており,アルツハイマー,血管性認知症,レビー小体型認知症(DLB),前頭側頭型認知症(FTD)の順に生命予後は悪くなっていきます。

しかし、認知症の生命予後に関してはさまざまな研究結果があり,発症からの生命予後の中央値は3~12年(多くは7~10年),診断からの生命予後は3~7年(発症から正確な診断までに約3年かかることを反映)と幅が広く、このように多様性があることが認知症の特徴です。これが予後予測を難しくしている要因でもあります。

医学書院
https://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03218_04

7.アルツハイマーの診断

アルツハイマー型認知症の診断は、DSM-4の診断基準によると以下フローチャートに示すのような7stepの手順で進めます。

アルツハイマー型認知症の診断と治療 第103回日本精神神経学学会総会
https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1100070577.pdf

主に症状の聞き取りや、記憶能力、問題解決能力、注意力、計算力、言語能力などの検査から総合的に判断されます。言語的能力や図形的能力(空間認知)などを簡易的に検査できる「MMSE検査(ミニメンタルスチール検査)」や短時間で認知能力を確認する「長谷川式簡易知能評価スケール」といった知能検査もよく行われます。また、ビタミンや甲状腺機能の低下の有無を調べる血液検査や、症状の原因がアルツハイマー型認知症か否かを見極めるための頭部MRI・CT、PET(脳の糖代謝を調べる検査)、SPECT(脳の血流を調べる検査)などを行うこともあります。通常はもの忘れが最初の徴候になり、家族や医師が気づきます。

MSDマニュアル
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/09-%E8%84%B3%E3%80%81%E8%84%8A%E9%AB%84%E3%80%81%E6%9C%AB%E6%A2%A2%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E3%81%9B%E3%82%93%E5%A6%84%E3%81%A8%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E7%97%87/%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E7%97%87

認知症https://doctorsfile.jp/medication/7/#:~:text=%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E7%97%87%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81%E3%81%95%E3%81%BE%E3%81%96%E3%81%BE,%E6%9C%80%E3%82%82%E6%82%A3%E8%80%85%E6%95%B0%E3%81%8C%E5%A4%9A%E3%81%84%E3%80%82

8.アルツハイマーの予防

認知症は本人だけでなく家族にも負担が大きく、サポートが必要です。軽度認知障害の段階での早期発見することにより、認知症への進行を食い止めることができます。また早期に認知症を発見することで、将来のことをゆっくりと考える時間的余裕を作り備えることができます。認知機能を測るチェックテストを定期的に受けることで、認知機能の低下に気づくことができます。

予防として、認知症になる前段階である軽度認知障害で、落ちる脳機能を集中的に鍛えることは、発症を遅らせるための効果的な方法です。認知症に至る前の段階では、通常の老化とは異なる認知機能の低下がみられます。この時期に最初に低下する認知機能が、「エピソード記憶、注意分割機能、計画力」です。これらの機能を鍛えることで認知機能の低下を予防します。

認知症の大半を占めるアルツハイマー型認知症の発症には、生活環境が大きく関わっていると分かっています。脳の状態を良好に保つためには食習慣や運動習慣を変えることが、認知機能を重点的に使うためには対人接触を行うことや知的行動習慣を意識した日々をすごすことが重要だと言われています。以下日常で行える予防法です。

9.アルツハイマーの罹患した著名人
  • 津川雅彦
  • レーガン元大統領
  • カントリー歌手のグレン・キャンベル
  • 俳優ジーン・ワイルダー

目次

アルツハイマーの一般的な治療法(保険診療)

現在、認知症を完治させる方法はありません。治療は本人が快適に、介護者の負担を軽くすることが目的にしています。治療法は薬物療法と非薬物療法の二つ存在します。優先度としては非薬物療法が高く、薬物療法は非薬物療法で効果が表れなかったときに用いられます。

①薬物療法

失われた記憶や機能を回復させる薬はまだありませんが、進行の軽減目的や不安、妄想、不眠などの症状を抑える目的があります。現在我が国で唯一使われているのは、塩酸ドネペジル(アリセプト)です。注意点としては、一度使用した場合、途中で服用を中断すると急激に悪化することがあります。服用は医師と計画を立て、最後まで貫くことが大切です。

②非薬物療法

認知症リハビリテーション(認知機能訓練や運動療法、音楽療法、回想法、アロマテラピーなど)により、自己認識の回復をはかります。患者さんの権利を大切にし、その人らしさを尊重するケアが基本となります。非薬物療法もまた、認知症の進行を止めたり、根本的に治療したりするものではありません。しかし、生活の質を上げるという面では薬物療法以上の効果も期待されます。

アルツハイマー型認知症の診断と治療 第103回日本精神神経学学会総会
https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1100070577.pdf

アルツハイマーにおける当院の独自の治療内容

当院では、骨髄幹細胞と造血幹細胞を使ったアルツハイマー型認知症の治療を行っています。幹細胞による治療は、自身の骨髄から骨髄幹細胞や造血幹細胞を採取し、再び自身の体内に静脈投与する方法です。幹細胞の採取は入院する事もなく、当日行うことが可能です。
また、当院では医師が患者さんのお宅へ出向く在宅診療も行っています。どのような患者さんにも、対応できるのが、当院の強みです。

ここで、骨髄幹細胞を取る際の方法として、骨髄穿刺と脊髄穿刺を混同している患者さんが多く見受けられます。

骨髄穿刺と脊髄穿刺の違いについて、こちらをご覧ください

アルツハイマーに対する効果の出る理論

アルツハイマーは、脳内にAβペプチドやタウタンパク質が蓄積する事で神経細胞が失われ、発症します。間葉系幹細胞は、血液脳関門という血液と脳と交通する部分を自由に通る事が出来るので、静脈内に投与された幹細胞が脳に直接届く事が出来ます。これにより、効果的に治療をする事が可能になります。
幹細胞は脳内に蓄積されたAβを減少させ、学習及び記憶障害を改善し、神経の再生を促します。これにより、幹細胞によるアルツハイマーの治療が可能となるのです。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6747457/

幹細胞治療の効果のエビデンス、研究、論文紹介

アルツハイマー型認知症には、骨髄幹細胞の投与で治療の効果が出ると言われています。アルツハイマーは、脳内にAβペプチドやタウタンパク質が蓄積する事で神経細胞が失われ、発症します。したがって脳内のAβを減少させることが、アルツハイマーに対する有用な治療となる可能性があります。
脳内にAβが蓄積したマウスに、骨髄幹細胞を投与し、12~42日後まで観察しました。

左は骨髄幹細胞投与後12日、右は投与後42日のAβ蛍光染色結果(Aβが存在する部位は蛍光に光ります)です。矢印は注射部位を示しています。
蛍光染色が明らかに薄くなっていることから、脳内のAβが顕著に減少した事がわかります。

以上の結果から、骨髄幹細胞によりアルツハイマーを引き起こす原因であるAβの蓄積を顕著に減少させる事が示せました。つまり、骨髄幹細胞は、アルツハイマー型認知症を根本的に治療をすることが出来る画期的な方法であることが分かります。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0304394008016133?via%3Dihub

臨床的な期待できる効果

論文では、以下の通りの効果が実証されています。9人の患者が研究に参加しました。幹細胞を投与し、効果は投与後24ヶ月に観測されました。

  • アルツハイマーの原因である脳内のAβの蓄積を減らすことができました
  • 空間学習能力を改善し、記憶力の低下を防ぐことが出来ました
  • 認知能力試験での改善が確認されました
  • 有害な副作用を示した患者はいませんでした
  • 失われた神経を再生することが出来ました

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7477654/

アルツハイマーにおける一般的な治療と比較したメリット

一般に、現在行われている治療は行動療法と薬物療法の併用です。これらは対症療法であり、アルツハイマー型認知症を根本的に治す治療ではありません。対して、幹細胞治療は変化してしまった神経細胞を正常な細胞に置き換えることが出来、炎症反応も抑制する事から、根本的に病気を治療する手段と言えます。また、静脈内投与である為、比較的簡易に行うことも出来、画期的な治療方法と言えるでしょう。

アルツハイマーの治療の流れ

当院での治療の流れを説明します。大まかな流れとして、まず患者さんの骨髄を採取して、静脈に点滴で幹細胞を移植します。1回治療を行い、3か月後に治療効果を判定し、次回以降の治療を決定します。患者さんの病気の状況次第で臨機応変に対応いたします

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