脳性麻痺の患者に骨髄幹細胞を注入し、その効果を確認した研究
脳性麻痺は、子供の生活とその家族に影響を与える障害です。これは通常、進行性ではないものの、時間の経過とともに改善が見られることはめったにありません。これは、周産期の低酸素性発作、発達中の脳の異常、遺伝的状態、外傷性または感染性の原因が原因であると言われています。また、脳性麻痺を治療または改善することができる治療法はなく、最善の方法は、支援的ケアとカウンセリングのみです。脳性麻痺は子供を衰弱させる状態であり、先天性疾患の中で最も費用がかかり、家族や社会に異常な負担をかけます。
ここで、脳性麻痺に対する画期的な治療法が、間葉系幹細胞(骨髄幹細胞)による治療です。静脈内に間葉系幹細胞を投与することで、間葉系幹細胞が血管内を移動し脳性麻痺で変化した脳の細胞に到達することが出来ます。それにより変化した神経細胞を幹細胞が分化した健康な細胞と置き換えることが出来、運動障害が改善され、脳性麻痺を治療することが可能になります。
間葉系幹細胞は、再生および免疫調節および成長刺激特性を持つ、多能性前駆細胞で、様々な組織や臓器になることが出来ます。自家骨髄由来単核細胞(BMMNC)を使用して、脳性麻痺の患者を1人治療しました。髄腔内に5回注射して細胞を投与すると、運動、感覚、認知、言語の改善が顕著になり、総運動機能分類システム(GMFCS)スケールの改善が報告されました。つまり、骨髄幹細胞は、万能な多能性な細胞であるので、脳性麻痺により損傷した細胞をも取って代わることが出来るのです。
ここで、脳性麻痺の患者17名を対象に骨髄幹細胞を注入し、その効果確認した論文を紹介します。
幹細胞を注入した人の内、15人が注射前後での効果を測定することが出来、そのうち11人は大幅に機能が改善し、運動が出来るようになりました。
被験者 |
GMFCS |
GMFCS |
認知の |
空間 |
---|---|---|---|---|
1 |
5 |
4 |
変化なし |
変化なし |
2 |
5 |
5 |
変化なし |
変化なし |
3 |
4 |
2 |
変化なし |
変化なし |
4 |
2 |
2 |
変化なし |
変化なし |
5 |
5 |
- |
変化なし |
- |
6 |
1 |
0 |
変化なし |
変化なし |
7 |
4 |
3 |
改善された |
改善された |
8 |
2 |
2 |
改善された |
改善された |
9 |
5 |
5 |
変化なし |
変化なし |
10 |
5 |
4 |
変化なし |
変化なし |
11 |
4 |
3 |
改善された |
改善された |
12 |
2 |
1 |
変化なし |
変化なし |
13 |
5 |
4 |
改善された |
改善された |
14 |
5 |
- |
- |
- |
15 |
5 |
2 |
改善された |
改善された |
16 |
4 |
2 |
改善された |
改善された |
17 |
5 |
4 |
変化なし |
変化なし |
ほとんどの患者は、大幅に運動機能が改善し、4人の患者は、完全に自立して移動できるほど改善しました。