臍帯血と骨髄血の違い
最近非常に問い合わせの多い、誤解の多い項目に関して、ここでまとめて述べておきたいと思います。
○臍帯血移植と幹細胞移植治療が治療が違う治療だと誤解していることが多い
臍帯血移植というのは幹細胞移植治療の中で数ある選択肢の中の一つであって、違う治療ではありません。すなわち幹細胞移植治療において、その幹細胞のリソースを骨髄からもってくるのか、臍帯血からもってくるのかという違いのみです。
なぜこのような誤解が生まれてしまうのか、「臍帯血はなにかよく分からないけど、すごいもの」というイメージが着いてしまっているのかもしれません。
また大きな原因は提供する側が知識が乏しく説明ができていない、説明に時間をかけていない、もしくは意図的に誤解するような説明を行っている(すなわち臍帯血を使っている病院、企業などは臍帯血と幹細胞は違う治療だと誘導し、臍帯血はより優れているなどの説明を行う)また患者さん側が手軽なインターネットなどで非専門家の適当な説明から情報を得てしまっている、ということがあげられると思います。
それどころか実際には、骨髄の幹細胞の方が、臍帯血の幹細胞より幹細胞としての能力が高いといういうことが分かっています。(Best Practice in Processing and Strage for Hematopoietic Cell Transplantation, Joseph Schwartzから引用)
その他の違いとしては、
臍帯血
・採取時の侵襲がない
・採取できる量が限られている
・1回しか採取できず、複数回の治療には適していない
・保管に伴う細胞の劣化、汚染のリスクがある
・保管に際して細胞保護剤という添加物を含む必要がある
骨髄血
・採取時の侵襲あり(ただし、施術は現在非常に安全に実施可能)
・何回でも採取できる
・必要な量を採取できる
・細胞の劣化、汚染のリスクが圧倒的に少ない