血管内皮前駆細胞(endothelial progenitor cells)と虚血性脳疾患や自閉症、知的障害、発達障害治療との関わり
血管内皮前駆細胞(endothelial progenitor cells)と虚血性脳疾患や自閉症、知的障害、発達障害治療
血管内皮前駆細胞は、間葉系幹細胞より直接的な治療効果が高いのでは?と注目されている細胞です。血管内皮前駆細胞は骨髄や臍帯血に存在(※血管内皮前駆細胞は脂肪など他の組織には存在しません)し、血液に入ると、血管の損傷や血流傷害の部位を探して、その部分を修復するために動き回ります。
血管内皮前駆細胞の役割は主に以下の役割です。
1、血管の内壁を修復
2、血流の正常化
3、傷害を受けた部位の血管新生
すなわち、脳の血流傷害に対して、間葉系幹細胞より直接的に治療効果を生み出します。
実際に、間葉系幹細胞より治療効果が高いという報告が複数でています(Endothelial progenitor cell transplantation alleviated ischemic brain injury via inhibiting C3/C3aR pathway in mice など)
各種脳疾患と血管内皮前駆細胞の関連について
虚血性脳疾患とは、いわゆる脳性麻痺、脳梗塞、脳出血などです。これらの疾患では、酸素が低くなることによって脳組織のダメージがでますので、その血管の修復、再生が直接的に症状の緩和に結びつきます。また虚血性脳疾患のみではなく、アルツハイマー病や偏頭痛でも治療効果が確認されています。
実際に以下の報告が医学的にされています。
1、血管内皮細胞が多かった脳障害の患者において3ヶ月後の改善が有意に高かったこと(Influence of Endothelial Progenitor Cells on Outcomes in Cerebrovascular Disease)
これはスペインの大学病院での研究です。脳障害を受けた場合、骨髄から血管内皮細胞が血中に放出され、血管の修復、血管新生を行いますが、その数が多かった患者において、治療後の改善が大きかったという報告です。
2、ある種の遺伝子疾患においても、血管内皮細胞が高い患者では知的機能が保たれるということ(Endothelial progenitor cells and cerebral small vessel disease in APOE4 carriers )
遺伝的にアルツハイマー病を引き起こしやすい患者群でも血管内皮前駆細胞が高い場合は知的機能が保たれる確率が高くなるということです。
3、アルツハイマーでは近年非常に注目されています。動物実験でも多くのアルツハイマーの症状改善例が指摘されており、アミロイドβの産生を抑えることも確認されています(Rajani R.M., Quick S., Ruigrok S.R., Graham D., Harris S.E., Verhaaren B.F.J., Fornage M., Seshadri S., Atanur S.S., Dominiczak A.F., et al. Reversal of endothelial dysfunction reduces white matter vulnerability in cerebral small vessel disease in rats. Sci. Transl. Med. 2018;10:eaam9507. doi: 10.1126/scitranslmed.aam9507. )
間葉系幹細胞治療では効果がなかったが、血管内皮前駆細胞投与で症状が改善したという報告もいくつもでてきています。
4、脳梗塞に対する治療効果
10個以上の研究が発表されており、そのすべてにおいて良好な結果と安全性が報告されています
特に以下の報告では他の薬剤とのコンビネーション治療により、完全寛解例が報告されています。Pellegrini L., Bennis Y., Guillet B., Velly L., Garrigue P., Sabatier F., Dignat-George F., Bruder N., Pisano P. Therapeutic benefit of a combined strategy using erythropoietin and endothelial progenitor cells after transient focal cerebral ischemia in rats. Neurol. Res. 2013;35:937–947. doi: 10.1179/1743132813Y.0000000235.
5、自閉症に対する効果
自閉症では、脳の以下の部分で代謝の低下が一般的に認められます。
扁桃体、海馬、海馬傍回、尾状核、小脳、内側側頭葉、視床、上側頭極および中側頭極(amygdala, hippocampus, para-hippocam-pal gyrus, caudate nucleus, cerebellum, mesial temporal lobe, thalamus, superior and middle temporal poles)
少なくとも部分的にはこの脳の領域の活動低下が自閉症の症状に繋がると考えられています。
現在まで有効とされている報告では、すべてにおいてこの血管内皮前駆細胞を少なくとも治療に同時に使用し(間葉系幹細胞のみの治療の有効性は認められていないので注意してください)、この領域の活動、代謝の改善が認められています。
治療における確認事項
血管内皮前駆細胞の治療効果を解説しました。一番注意していただきたいのは、その治療は血管内皮前駆細胞をきちんと使用しているかどうか?こちらが非常に重要なチェックポイントになりますので、治療を受ける際には必ず確認をされるようにお願いいたします。

