幹細胞治療と認知症|受ける前に知るべき副作用と効果
物忘れが増えた、判断力が鈍くなったなど変化を感じた際に「もしかして認知症かも」と不安になる方は少なくありません。
近年、認知症の進行をゆるやかにし、脳機能の回復を目指す治療として「幹細胞治療(再生医療)」 が注目されています。
しかし、「本当に効果があるの?」「副作用は大丈夫?」といった疑問を持つ方もいるでしょう。そこで、本記事では一般的な幹細胞治療の仕組み・効果・安全性・注意点を分かりやすく解説します。
※本治療は厚生労働省による承認を受けたものではなく、自由診療です
※治療効果や安全性について確立されたものではありません
※すべての患者様に効果を保証するものではありません
※副作用が生じる可能性があります
※他院を含めた一般的な内容を啓蒙目的を含んで記載しており、実際に当院で全ての
内容(治療内容や診察、説明)を行っているわけではありません
幹細胞治療と認知症について

認知症は、さまざまな原因で脳の働きに障害が起こり、記憶や判断力に影響を及ぼす病気です。種類や進行の仕方も多様で、適切な理解と対応が求められます。
近年では、再生医療の一つである「幹細胞治療」が、認知症の新たな選択肢として注目されています。ここでは、認知症の基礎から幹細胞治療の仕組みと可能性についてご紹介します。
認知症とは?原因と種類
脳のさまざまな部位に「機能障害」が生じることで、記憶力・判断力・言語機能などが徐々に低下し、日常生活に支障を来す状態を「認知症」と呼びます。
認知症はひとつの病名ではなく、こうした症状を引き起こす複数の原因疾患をまとめた症候群です。一般に高齢者に多く見られますが、若年性認知症として働き盛りの世代にも発症する可能性があります。
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認知症の種類 |
原因 |
特徴 |
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アルツハイマー型認知症 |
長い年月をかけて、脳内にたまった異常タンパク質であるアミロイドβとリン酸化タウが神経細胞を破壊し脳萎縮が起こる |
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血管性認知症 |
脳梗塞や脳出血によって一部の神経細胞に十分な栄養や酸素がいき渡らなくなる脳血管障害 |
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レビー小体型認知症 |
異常タンパク質であるレビー小体が、脳内を中心に蓄積されながら神経細胞が破壊されていく |
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前頭側頭葉変性症 |
脳の前頭葉や側頭葉で神経が減少し脳が萎縮する前頭側頭葉変性症が原因となり発症 |
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アルコール性認知症 |
アルコールを多量に飲み続けた事による、脳梗塞などの脳血管障害・ビタミンB1欠乏による栄養障害 |
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混合型認知症 |
複数の認知症疾患が同時に進行し互いに影響を及ぼす |
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上記に認知症の種類と原因・特徴を表にまとめました。
認知症を引き起こす原因として、最も頻度が高いのは 神経変性疾患(変性疾患) で、代表的なものにアルツハイマー型認知症、前頭・側頭型認知症、レビー小体型認知症などがあります。これらでは、長年にわたる異常タンパク質の蓄積や神経細胞の萎縮が徐々に進むことで、神経回路の破綻や細胞死を引き起こします。
次に多い原因として 脳血管性認知症 があり、これは脳梗塞・脳出血・動脈硬化などによって脳血管が障害を受け、神経細胞に十分な酸素や栄養が届かなくなることで、部分的な神経の壊死やネットワークの断裂が起こるものです。
認知症では、脳の障害によって起こる「中核症状」と、それに付随して現れる「周辺症状(行動・心理症状)」の2つが見られます。中核症状は、記憶や判断などの脳の認知機能そのものの低下によるもので、すべての認知症の方に何らかの形で現れます。
一方で周辺症状は、性格・環境・人間関係などの影響を受けて現れる二次的な症状で、個人差が大きく、日常生活や介護に大きな影響を与えることがあります。
以下の表では、代表的な中核症状と周辺症状、それぞれの具体的な内容をまとめています。
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症状の種類 |
症状 |
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中核症状 |
記憶障害 |
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見当識障害 |
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理解・判断力の障害 |
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実行機能障害 |
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感情表現の変化 |
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周辺症状 |
本人がもともと持っている性格・環境・人間関係などさまざまな要因がからみ合い日常生活への適応を困難にする行動上の問題 |
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認知症は、原因やタイプにより症状の出方や進行に違いがあります。それぞれの特徴を理解することで、適切な対応や支援につなげることが重要です。
【参考文献】
厚生労働省「認知症を理解する」
厚生労働省「認知症ケア法-認知症の理解」
厚生労働省「認知症施策の総合的な推進について」
国立研究開発法人国立長寿医療センター「認知症とアルツハイマー病は違うのですか」
政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」
日本アルコール関連問題学会「簡易版「アルコール白書」」
幹細胞治療とは?
幹細胞治療とは、体内で傷ついたり失われたりした組織に対し幹細胞を用いて修復・再生することを目指す再生医療の一種です。幹細胞には「自己複製能(自分と同じ幹細胞を生み出す能力)」と「分化能(さまざまな細胞へ変わる能力)」があり、この特性を利用して損傷部位を回復させます。
幹細胞には以下の表に示したように、いくつかの主要な種類があり、それぞれ特徴や応用可能性に違いがある点も特徴の一つです。
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幹細胞の種類 |
特徴・取得部位 |
認知症・神経領域における注目点 |
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間葉系幹細胞(MSC) |
脂肪、骨髄、臍帯などから採取 |
免疫拒絶リスクが低く、炎症を抑える物質を放出する傾向があるため、神経変性領域や血管新生支援に期待される。 |
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神経幹細胞(NSC) |
中枢神経系に由来 |
ニューロン(神経細胞)への分化能が高く、欠損神経細胞を置き換える可能性が研究されている。 |
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iPS(誘導多能性幹細胞)由来前駆細胞 |
皮膚や血液など体細胞を初期化して作製 |
幅広い分化能をもたせつつ、制御された形で神経系前駆細胞へ誘導する技術開発が進んでおり、将来的な応用可能性が注目されている。 |
患者自身から採取した幹細胞を投与することで、副作用が少ないといえます。
幹細胞治療は認知症にどう効くのか
幹細胞治療は、失われた神経細胞そのものを修復するだけではなく、脳の環境を整える働きを通じて認知症に作用する可能性があると考えられています。
幹細胞は神経細胞やその前駆細胞に分化し、損傷を受けた神経回路の修復を助けることが期待されます。また、幹細胞が分泌するサイトカインや成長因子には炎症を抑えたり、神経細胞を保護したりする作用があることが報告されています。さらに、血管を新しく作り出す「血管新生作用」によって脳の血流を改善し、酸素や栄養が神経細胞に届きやすい状態をつくることも期待されています。
こうした仕組みから、幹細胞治療はアルツハイマー型認知症などの神経変性疾患に対して、症状や認知機能への影響について、臨床研究が継続されています。ただし、臨床試験はまだ限られており、「確立された治療法」とはいえない段階です。安全性や有効性を慎重に検証する研究が続けられています。
【参考文献】
National Library of Medicine「神経変性と神経再生 ― アルツハイマー病と幹細胞療法」
幹細胞治療で認知症は治る?

現在、認知症の治療は「完治」を目指すというよりも症状の進行を遅らせ、生活の質(QOL)を維持することが主な目標とされています。アルツハイマー型認知症などの変性性疾患では、失われた神経細胞を自然に再生させることが難しいため、根本的な治療法はまだ確立していません。
一方で、幹細胞治療は再生医療の新しい可能性として注目されており、神経の修復や炎症の抑制などを通じて、症状の改善や進行抑制につながる可能性が研究されています。国内外の一部症例報告において、認知機能テストや脳画像所見に関する報告が散見されていますが、現在も研究段階です。
ただし、すべての方に効果があるとは限りませんが安全性と有効性の確立が期待さる治療といえるでしょう。
【参考文献】
National Library of Medicine「神経変性と神経再生 ― アルツハイマー病と幹細胞療法」
厚生労働省「認知症を理解する」
幹細胞治療で認知症に期待できる効果

幹細胞治療は、これまでの薬物療法とは異なり損傷した神経細胞の再生や脳の環境を整えることを目的とした再生医療です。
研究の進展により、記憶力や判断力などの認知機能の改善をはじめ神経細胞を守る抗炎症作用や、脳血流を促す血管新生作用など多方面での効果が期待されています。
ここでは、幹細胞治療によってどのような働きが期待できるのか、またどのタイプの認知症に有効と考えられているのか従来の薬物療法との違いについて解説します。
記憶機能など認知機能改善に期待できる
幹細胞治療について、認知機能への影響に関する研究が行われています。主なメカニズムと効果を以下にまとめました。
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作用の種類 |
主な働き |
期待される効果 |
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神経再生作用 |
損傷した神経細胞を補い、新しい神経ネットワークを形成 |
記憶力・判断力など認知機能への影響について研究段階です |
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抗炎症作用 |
炎症を抑える物質を分泌し、神経細胞を保護 |
神経伝達のバランス維持、脳の働きを安定化 |
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血管新生作用 |
新しい血管を作り、脳の血流と酸素・栄養供給を改善 |
脳代謝の活性化、神経機能の維持 |
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脳萎縮抑制作用 |
神経変性の進行を遅らせる働きが報告 |
脳の萎縮を抑制し、症状進行を緩やかにする |
幹細胞治療は「神経を再生しながら、炎症を抑え、血流を整える」という多面的なアプローチで、脳機能の回復をサポートします。
【参考文献】
National Library of Medicine「神経変性と神経再生 ― アルツハイマー病と幹細胞療法」
どの認知症に効果が期待できるか
幹細胞治療は、さまざまな認知症のタイプに対して、脳の修復や炎症の抑制を通じて機能回復を支援する可能性があると考えられています。
特に、以下のようなタイプで効果が期待されています。
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認知症のタイプ |
幹細胞治療による主な作用・期待される効果 |
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アルツハイマー型認知症 |
アルツハイマー病の原因とされる異常タンパク質『アミロイドβ』について、基礎研究段階での報告があります。また、幹細胞が分泌する成長因子により神経細胞の再生が促され、記憶力や思考力など認知機能の改善、症状の進行抑制につながる可能性が報告されています。 |
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脳梗塞による認知症(血管性認知症) |
幹細胞が損傷した脳組織の再生を促し、血流の改善や神経ネットワークの再構築をサポートします。これにより、脳梗塞後の後遺症の軽減や、認知機能の維持・回復が期待されています。 |
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その他の神経変性疾患 |
パーキンソン病やレビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などでも、幹細胞の抗炎症作用や神経保護効果により、症状の安定化や生活機能の維持をサポートする可能性が検討されています。 |
幹細胞治療は、こうした異なる病態に対しても共通する作用メカニズム(神経再生・抗炎症・血管新生)を発揮することから、認知症の新しい治療選択肢として注目されています。
今後は、より多くの臨床経験を通じて、各タイプにおける最適な治療法が明らかになっていくことが期待されています。
【参考文献】
National Library of Medicine「神経変性と神経再生 ― アルツハイマー病と幹細胞療法」
幹細胞治療と薬物療法
認知症の治療は、これまで薬物療法が中心でした。 当院では「幹細胞治療と脳内フリーラジカル除去のコンビネーション治療」を行っています。
この治療は、患者様ご自身の骨髄幹細胞と造血幹細胞を採取し静脈点滴で体内へ戻す方法です。入院の必要はなく、日帰りで行うことが可能です。
幹細胞が持つ神経再生・抗炎症・血流改善作用に加え、脳内のフリーラジカル(活性酸素)を除去する薬剤を組み合わせることで、神経細胞の保護と脳環境の改善を多面的にサポートします。
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薬の種類 |
主な作用 |
代表的な薬剤名 |
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アセチルコリンエステラーゼ阻害薬 |
神経伝達物質「アセチルコリン」の分解を抑え、脳内の情報伝達を助ける |
アリセプト®(ドネペジル) |
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NMDA受容体拮抗薬 |
神経細胞を過剰な興奮から守り、神経保護を図る |
メマリー®(メマンチン) |
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その他(漢方薬など) |
精神的な不安・興奮・睡眠障害など周辺症状の改善 |
抑肝散などが用いられることもある |
※ここに挙げた薬は、現在日本で承認され、保険診療で用いられている認知症の進行を抑制するための標準的な治療法です。認知症の根本的な原因を治療(根治)するものではありません。
※お薬の選択や使用にあたっては、必ず専門の医師による診断と処方が必要です。副作用が起こる可能性もあるため、ご使用の際は医師や薬剤師の指示に従い、気になる症状があればすぐに相談してください。
なお、「骨髄穿刺」と「脊髄穿刺(腰椎穿刺)」を混同される方がいらっしゃいますが、幹細胞の採取に用いるのは骨髄穿刺であり、脊髄に針を入れる処置ではありません。
体への負担は少なく、採取後はすぐに通常の生活に戻ることができます。 また、通院が難しい方のために、医師がご自宅に伺う在宅診療にも対応しています。患者様やご家族の負担を減らしながら、より安心して治療を受けていただける環境を整えています。
幹細胞治療を認知症患者が受けるメリット

幹細胞治療は、体への負担が少なく、通院で受けられることが大きな特徴です。
治療は静脈内への点滴投与で行われるため、手術のような侵襲的処置を必要とせず、高齢の方でも安全に受けていただけます。
投与された幹細胞は、損傷した神経細胞の修復を助けたり、炎症を抑えたりする働きを持っています。これにより、脳内の環境を整え、認知機能の改善や症状の進行抑制が期待されています。
また、幹細胞は免疫のバランスを整える作用もあるため、神経細胞がダメージを受けにくい状態を維持しやすくなると考えられています。
さらに、当院で行う治療では患者様ご自身の幹細胞(自家由来)を使用するため、免疫拒絶反応のリスクが非常に低く、安全性が高いことも大きなメリットです。治療前にリスクや副作用について十分な説明を受け、理解していただくことが重要です。
こうした点から、幹細胞治療は研究段階の再生医療として「認知症に対する新たな研究アプローチの一つ」として、認知症のある患者様に新たな希望をもたらす選択肢の一つとなっています。
幹細胞治療を認知症患者が受けるデメリット

幹細胞治療は安全性の高い再生医療として注目されていますが、どのような治療にも注意すべき点はあります。幹細胞を採取・投与する際には、まれに軽度の副作用がみられる場合があります。また、自由診療(保険適用外)で行われるため費用面の負担が生じる点も理解しておくことが大切です。
副作用が起こるケースがある
幹細胞治療は安全性の高い再生医療とされていますが、すべての医療行為と同様に、まれに軽度の副作用がみられる場合があり得ると理解する事も大切です。
採取時には、穿刺部に軽い痛みや皮下出血、感染リスクは0.01%未満と低いとされていますが、ゼロではありません。
投与の際には、注射部位の違和感や軽い発熱(微熱)、悪心などが一時的に見られることがありますが、多くは短期間で自然におさまるケースがほとんどです。重い副作用の報告はごくまれであり、治療中は医師が状態を確認しながら慎重に進めていきます。
当院では、治療前にリスクや注意点を十分にご説明し、体調の変化があった場合には迅速に対応できる体制を整えています。
保険適用外
幹細胞治療は、健康保険が適用されない自由診療として行われているため、治療費は1回あたり数十万円から数百万円と高額です。
治療は、厚生労働省へ届出済みの再生医療計画に基づき安全管理体制のもとで実施されます。内容や費用については、事前に医師が丁寧に説明を行い理解と同意を得たうえで進行する流れです。
幹細胞治療の治療対象

幹細胞治療は、すべての方に一律で適応となるわけではありません。
治療を検討する際は、症状の進行度や健康状態・通院の可否などを総合的に判断して、医師が適応を決定します。
主な対象となるのは、次のような方です。
- 投与スケジュールに合わせた継続通院が可能な方
- 既存の治療を続けても、進行の抑制が十分でない場合
- 軽度から中等度の認知症
- アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症、前頭側頭型認知症などの患者
これらの条件を満たす場合でも、最終的な判断は医師が行います。
体調や生活状況を丁寧に確認しながら、無理のない範囲で一人ひとりにあった治療を進めていきます。
幹細胞治療の流れ

幹細胞治療は、医師による診断から治療後の経過観察まで、安全性を確保しながら段階的に進められる再生医療です。
初回の診察で治療の適応を確認し、実際の投与やその後のフォローアップまで、一人ひとりの状態に合わせて計画を立てていきます。
ここでは、診断から治療、そして経過観察に至るまでの流れを詳しくご紹介します。
診断:適応になるかの医師の判断
幹細胞治療を行う前には、まず医師が適応になるかどうかを慎重に確認することが必要です。初回来院時には血液検査や生化学検査、ウイルス・細菌検査などを実施し、全身の健康状態を詳しく把握します。
あわせて、DSM-5(精神障害の診断・統計マニュアル)に基づく認知機能評価を行い、
記憶力や判断力・日常生活動作などの症状の程度を客観的に確認します。
さらに、これまでの病歴や服薬内容、生活習慣などを丁寧に聴取し、身体診察の結果とあわせて総合的に判断する流れです。
こうした複数の評価をもとに、幹細胞治療が適しているかどうかを見極めていきます。
治療方法(投与方法・回数)
幹細胞治療は、採取した幹細胞を体内に戻す方法で行われます。
投与にかかる時間はおよそ1時間程度。リラックスした状態で受けることができます。
幹細胞が体内で徐々に作用し、神経の修復や炎症の抑制といった効果を継続的に促すため治療は、3〜6か月に1回程度の間隔で実施されるのが一般的です。
投与後は定期的に認知機能の評価や体調の変化を丁寧に見守っていきます。
治療後の経過と注意点

幹細胞治療の効果は、投与直後に劇的な変化が現れるわけではなく、時間をかけて少しずつ体の中で働いていくのが特徴です。
治療後は、認知機能や日常生活の変化を観察しながら医師が経過を丁寧にフォローします。
ここからは、治療後に見られる変化や効果が現れるまでの期間、そしてフォローアップの内容についてご紹介します。
認知機能や日常生活の変化
幹細胞治療を受けた後は、認知機能が少しずつ改善していくケースが見られます。
記憶力や判断力、注意力などがゆるやかに回復し、日常生活での動作が安定してくることがあります。ただし、その効果の現れ方には個人差が大きく、すぐに劇的な変化が見られるわけではありません。時間をかけながら、徐々に生活リズムが整い、穏やかな状態を保てるようになる方もいます。
治療後には行動面や精神面での変化が見られる場合がありますが、効果には個人差があります。
効果が現れるまでの期間
幹細胞治療の効果が現れるまでには、年齢や病気の進行度・基礎疾患・生活環境などによって個人差があります。早い段階で変化を感じる方もいれば、時間をかけて少しずつ改善が見られるケースもあります。
一方で、すぐに効果を実感できない場合もあるため治療後は医師と経過を丁寧に観察しながら、長期的な視点で判断することが大切です。
焦らず体の中で少しずつ起きている変化を見守ることが、より良い経過につながります。
治療後のフォローアップ
幹細胞治療の後は、定期的なフォローアップがとても大切です。
治療の効果を確認するために、MMSE(ミニメンタルステート検査)やMoCA(モントリオール認知評価)などの認知機能検査を行い症状の変化を客観的に評価します。
同時に、感染症や副作用の有無・全身状態のチェックも丁寧に実施。 必要に応じて、追加の幹細胞投与やリハビリテーション・生活習慣の見直しを並行して行うケースもあります。
また、ご家族とのカウンセリングを通して介護や日常生活の負担を軽減し、生活の質(QOL)を高める支援にも力を入れています。患者様だけでなく、ご家族全体が安心して治療に向き合えるよう継続的にサポートを行う必要があるのです。
【参考文献】
一般社団法人日本老年医学会「認知機能の評価法と認知症の診断」
認知症と向き合う家族のためにできること

認知症の治療は、患者様ご本人だけでなく支えるご家族にとっても長い時間を共に歩むものです。幹細胞治療によって症状の進行を抑えられたとしても、日々の生活を支える家族の負担や不安は決して小さくありません。
ここでは、介護を担うご家族が少しでも前向きに、そして無理なく支え合えるようにするための工夫や支援のあり方について説明します。
介護負担を減らす再生医療の役割
幹細胞治療によって認知症の進行をゆるやかにできれば、介護の負担を軽減できる可能性があります。
症状の悪化を抑えることで、日常生活の中で必要とされる「見守り」や「声かけ」の頻度が少なくなり、 ご家族が自分の時間を持ちやすくなることもあるでしょう。
また、患者様の症状が落ち着くことによって介護の中で生じる不安なども軽減でき家族全体の心のゆとりにつながることが期待されます。
治療だけでなく生活支援も重要
認知症のケアでは、治療だけではなく生活を支える支援を組み合わせることが大切です。
例えば、デイサービスや訪問介護などの介護サービスを活用しケアマネジャーを中心とした多職種との連携を図ることで家庭での介護負担を軽減できます。
また、患者様ご自身が「できること」をできるだけ長く維持できるよう、自立支援やバリアフリー環境の整備を行うことも重要です。
無理のない範囲で本人の力を引き出すことが、生活の質を保つうえで大切な支援になります。
家族が気持ちに余裕を持つために
認知症の介護は、長い時間をかけて向き合うものです。だからこそ、家族が一人で抱え込まないことがとても大切です。
地域の相談窓口や介護家族会などを活用し、同じ経験を持つ人たちと気持ちを共有することで少し心が軽くなることがあります。
また、介護を続けるご家族自身がカウンセリングやストレスケアを受けることも視野に入れておくことが重要です。
「完璧にやらなければ」と思い詰めず、できる範囲で支えることを意識しましょう。介護福祉制度(ショートステイなど)を上手く活用し、レスパイトを入れながら過ごすと患者様本人もご家族も笑顔で過ごせる時間が増えます。
よくある質問

幹細胞治療や認知症のケアについて、不安や疑問のある方も少なくありません。
ここでは、治療を検討するうえで「どんな人が対象なのか」「効果や安全性はどうか」「費用はどのくらいか」医師の立場から分かりやすくお答えします。
不安を少しでも解消し、治療について安心して理解を深めていただければ幸いです。
どの段階から治療を始めるべき?
幹細胞治療は、軽度認知障害~軽度・中等度の認知症段階で始めるのが望ましいです。
脳の神経細胞がまだある程度保たれているため、幹細胞による神経の修復や炎症抑制の効果が発揮されやすいと考えられています。
症状が進んでからでも治療は可能ですが、早い段階で始めるほど治療効果に期待ができるといえます。 「少しもの忘れが増えた」「判断力が落ちてきたかもしれない」と感じた時点で、早めに医師へ相談することが大切です。
認知症に効く最強の薬は?
現在のところ、認知症を根本的に治す薬は存在しません。
ただし、症状の進行を遅らせたり記憶力や注意力の低下を緩和したりする薬はあります。
認知症の進行抑制や症状緩和に効果のある代表的な薬は以下の通りです。
- アリセプト®(ドネペジル)
- アリドネ®パッチ(貼り薬)
- レミニール
- イクセロン®パッチ(貼り薬)
- リバスタッチ®パッチ(貼り薬)
- メマリー®(メマンチン)
※認知症全てに効果があるわけではありません
※厚生労働省が認めた認知症のみへの適応となります
これらの薬は、神経伝達物質・アセチルコリンの分解や、興奮系の脳伝達物質グルタミン酸の働きをおさえてる作用があります。
一方、幹細胞治療は「再生医療」として薬とは異なるメカニズムです。
損傷した神経細胞を修復し、炎症を抑える働きが期待されるため既存の薬物療法と併用することで、より多角的なアプローチが可能になります。
どこで治療できる?安全性は?
幹細胞治療をはじめとする再生医療は、厚生労働省に届け出を行い認定を受けた医療機関でのみ実施が認められています。
また、治療は「再生医療等安全性確保法」に基づき、厳格な安全管理体制のもとで行われます。当院は、厚生労働省へ正式に届出が受理された再生医療認定医療機関として
特定認定再生医療等委員会の審査を経た治療計画に基づき、幹細胞治療を実施している医療機関です。
治療前には、内容・効果・リスク・費用などを医師が丁寧にご説明し、患者様やご家族の同意を得たうえで進めることを徹底しています。
費用や治療期間は?
幹細胞治療は健康保険が適用されない自由診療のため、費用は1回あたり数十万円から100万円以上となる場合があります。
治療期間は半年〜1年程度で、3〜6か月おきに数回投与するケースが一般的です。症状の進行度や治療計画によって内容や回数は異なるため、具体的な費用・スケジュールについては医師へご相談ください。
認知症になったら食べてはいけないものは何ですか?
認知症の進行を抑えるためには、食生活の見直しもとても大切です。
アルコールの摂りすぎや油っこい食事は、脳を萎縮させたり動脈硬化を引き起こし認知機能に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、塩分や糖分を多く含む食事も、高血圧や動脈硬化など脳血管障害のリスクを高めるため注意が必要です。
毎日欠かせない食事は「バランスよく和食中心で、加工食品を控えめにする」ことが基本のポイントです。魚・野菜・発酵食品などを意識的に取り入れ、規則正しい生活と食習慣を心がけましょう。
治療後の日常生活に変化はある?
幹細胞治療を受けたあと「表情が穏やかになった」「笑顔が増えた」「会話が増えた」といった変化が見られることがあります。
ただし、幹細胞治療は認知症そのものを完全に治す治療ではありません。症状の進行をゆるやかにしながら、より穏やかに生活を続けられることを目指す治療といえます。
症状が落ち着いたから、介護福祉とのつながりを断つのではなく必要な時に支援を受けられるよう、治療後もご家族による見守りや介護は引き続き大切です。
まとめ
幹細胞治療は、認知症に対して神経の再生や炎症の抑制を促す新しい治療法です。 特にアルツハイマー型認知症では、症状の進行をゆるやかにし認知機能の維持をサポートすると報告されています。
一方で、現時点ではすべての方に効果がある治療ではなく、個人差があるのも事実です。幹細胞治療だけに頼るのではなく、薬物療法やリハビリ・生活支援・介護などを組み合わせることで患者様やご家族の暮らしが穏やかになります。
治療を検討される際は、専門的な医療機関で専門医と十分に相談することが大切です。
当院では、患者様一人ひとりに合った治療を提案いたします。少しでも、認知機能が気になる方はぜひご相談ください。

