幹細胞治療と副作用について
幹細胞治療のリスク
幹細胞治療のリスクについて解説していきます。
その前に幹細胞治療と言っても色々な種類があるので、それを分けないといけません。
使う細胞の由来における違い
a、脂肪由来の幹細胞、b、骨髄や臍帯血(臍帯ではない)由来の細胞 で説明していきます。a、脂肪由来の幹細胞治療が日本では圧倒的に多いです。その理由は、採取が簡単なこと、またそれによって、特に「痛み」を過剰に嫌悪する中国人の方など海外患者さん向けに「患者受けがいい(痛くなさそうに聞こえる)」というだけであって、医学的な要因ではありません。しかし、それによって損なわれる安全性の問題もきちんと説明する必要があります。
aとbの違いは、本来、血液に存在している(存在するべき)細胞かどうかということです。
a、脂肪由来の幹細胞は本来、血液には存在せず、むしろ血管外において、止血、凝固などの役割を担っています。よって、この細胞が本来存在すべきでない血液に入ると、血栓を形成を促進します。それが、静脈に投与する治療において、最も深刻なリスクを引き起こします。これは臍帯血ではなく、臍帯でも結局同じこと(臍帯血由来は血液に入っても問題ないが、臍帯はそもそも血液に入る細胞として作られてない)です。この血液に入った時に、安全かどうかというのは、「hematocompatibility:血液適合性」という評価で表します。脂肪由来の幹細胞は、この血液適合性が最も低く、すなわち、血液に入ると、最も危険な細胞ということになります。なお、脂肪由来の幹細胞でも、当然ながら、本来存在するべき脂肪組織に移植することは安全性において、問題なく、別の話しとなります。
b、骨髄や臍帯血(臍帯ではない)由来の細胞
こちらの細胞は、そもそも血液循環の一部として存在しているため、血液に入ったからと言って悪さはしません。すなわち、血液適合性が高いわけです。aの血液投与では副作用がほうこくされているものの、bの血液投与では副作用の報告がない、ことが、現実にそれを証明しています。
実際に各細胞の血液適合性を評価した研究(Therapeutic MSC Infusionsより)です。

こちらでは、骨髄由来の細部が血液に入っても問題ないが、AT-MSC(脂肪由来幹細胞)では、巨大な血栓ができることが示されています。実際に脂肪由来の細胞では、組織因子と言われる凝固促進因子が高いことが確認されています。
1、細胞保存液を使用する治療
細胞を培養したり保存する治療(当日すぐに使用しない治療)で必要になります。
2、細胞保存液を使用しない治療(当院の主な治療)
当日その場で移植する治療になります。例えば脂肪を細かくして脂肪幹細胞を脂肪組織(静脈ではない)に移植するような治療です。
現状まで報告では、1と2では圧倒的に1の治療の副作用が多いです。
理由は、細胞保存液の使用の有無です。細胞保存液にはDMSOとアルブミンというお薬が使用されていることが多く、これらがアレルギー反応を引き起こす可能性があります。現在までの報告では約0.2%です。(https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/vox.13379)
さらに培養する場合は、抗生剤や成長因子など多くの薬を用います。培養よって細胞が大きくなることから、肺塞栓の報告もあります。
2ではアレルギーの報告がありません。そもそも薬品を使わないからです。肺塞栓の報告もありません。
このように1、2では大きく異なりますので、そちらをご理解いただけますと幸いです。

